楽天経済圏の2024年の動向を見届ける
最近、色んな意味で楽天グループの話題をよく目にしますね。
本記事では、楽天経済圏の2024年の動向をゆるくまとめつつ、たまにこの記事の更新もしながら見届けていきたいと思います。
素人視点で、先に気になるニュース (fact) を、次に私の期待や予想 (rumor) をまとめる流れです。
我が家と楽天経済圏
我が家は、楽天経済圏民という訳ではないのですが、楽天系のサービスを “プチ楽天経済圏” くらいには活用しています。
投資に関しては、夫:SBI証券、妻:楽天証券 で NISA を利用しています。
また、私は楽天ペイを普段使いの “○○ペイ” として使用しています。
そこそこ使ってます。楽天。
楽天経済圏への期待
私の個人的な期待としては、楽天経済圏 (楽天グループ) には、他の経済圏やSMFG(三井住友系) × SBIとしっかり競争して、楽天経済圏とその競争相手、どちらもサービスに磨きをかけて欲しいところです。
気になるニュース
続いて、楽天経済圏に関する気になるニュースと、私の感想や予想をざっくりまとめていきます。
まずは2024年、楽天経済圏に関係しそうなニュースを挙げていきます。
楽天グループの金融事業再編
楽天グループにおける大きな動きとして、金融事業(フィンテック事業)の再編が挙げられます。
楽天銀行の上場を維持しつつ、楽天グループの主要セグメントである金融事業を担う各子会社を1つのグループにまとめるようで、関連する各種金融サービスの変更もあるでしょう。
具体的な再編の内容は今後協議予定とのことですが、楽天銀行、楽天カード株式会社、楽天証券ホールディングス株式会社、楽天インシュアランスホールディングス株式会社等が対象のようです。
※楽天ウォレットは対象外で、また楽天ペイメントは楽天カードの子会社 (参考1,参考2)。
公式発表は以下です。日経新聞の記事もあります。
資金調達の側面も?
三木谷社長は以前、”楽天グループの金融サービスは統合すれば5兆円の価値があると考えている” という発言もしています。今回の再編が、仮に楽天モバイル事業の赤字に係る財務悪化や社債の償還期限等の事情によるものではなかったとしても、再編による様々な効果を楽天グループの資金繰りに活用しないとは誰も思わないでしょう。
金融系アプリ統合
金融事業に関するより具体的なニュースとしては、楽天ペイ、楽天ポイントカード、楽天Edyの3つのアプリが楽天ペイに統合されるという予定があります。
ロードマップとしては、2024年12月に “楽天ポイントカード” アプリを “楽天ペイ” アプリに統合、2025年に “楽天Edy” アプリも楽天ペイに統合する予定とのこと。2024年の1年間だけで終わる話ではないですね。
楽天キャッシュにおけるポイント還元ルールの変更
上記のアプリ統合のニュースでは、楽天キャッシュにおけるポイント還元ルールの変更についても触れられています。
従来、楽天カードから楽天キャッシュにチャージした際には0.5%のポイント還元がありましたが、2024年夏からは楽天キャッシュの利用時にポイント還元されるよう変更となります。
この変更は、楽天キャッシュを中心に表現するなら、還元されるタイミングが入口(チャージ)から出口(利用時)に変わる格好なので、チャージ方法に関わらず0.5%還元を受けられることになります。
特に、ポイ活ユーザーの注目を集めそうな点としては、楽天キャッシュによる投資信託の積立に対しても0.5%のポイントが付与されるようになる点です。
ポイント還元に関する変更内容については、以下の記事にまとめてあります。
ちなみに公式サイトの説明では、以下のページが比較的分かりやすいです。
給与デジタル払いの指定申請完了
2023年4月に省令が改正され、賃金(給与)のデジタル払いの開始に向け準備が進められています。1年経ってもまだ審査中なので、スピード感はイマイチですが…。利用者保護対策などで審査が長期化しているらしいです。
給与デジタル払いに利用できる口座は、資金移動業者 (資金決済法に基づく登録) のうち、さらに申請を行い厚生労働大臣の指定を受けた業者の口座のみです。
2024年1月時点で以下の4事業者がこの指定に係る申請を行っており、現在審査中とのこと (参考1)。
- 楽天Edy株式会社 (プレスリリース)
- PayPay株式会社 (プレスリリース)
- 株式会社リクルートMUFGビジネス (Airワーク、エアウォレットあたり)
- auペイメント
給与デジタル払いのメリットとして、企業(雇用者)が給与支払いのために支払う手数料が安くなったり、労働者が給与の一部を電子マネーチャージしたり、支払い頻度を週1回や毎日に設定できたり、といった今までにない柔軟かつ効率的な給与支払いを実現できる可能性があるという点が挙げられます。それらが必ずしも従来の銀行振込では実現できないと言い切れる訳ではないと思いますが。
また、銀行口座を持たない外国の方が日本国内でお金の受け取りや送金をしやすくなるといった点も挙げられます。
楽天グループにおいて、この給与デジタル払いに利用できる口座に相当するものは、資金移動業者として提供する電子マネーサービスである楽天キャッシュ プレミアム型です (基本型とプレミアム型の2種類があり、いずれも楽天Edy株式会社が登録しています)。
楽天家計簿の提供開始
2024年4月17日から、楽天家計簿の本格提供が開始されました。
ちなみに今のところは、連携できる他社の銀行口座数が1つ、クレカ等の金融サービスが3つなので、普段使いの金融サービスを楽天グループのものに集約していない限り、家計簿アプリの機能としてはまだまだ貧弱だと言えます。今後有料のプレミアムプランで登録できる口座数が無制限になるとのこと。
楽天モバイル事業の黒字化目標
赤字業績が話題の楽天モバイル事業、2024年中の黒字化を目指すそうです。
決算時の資料には、リファラルマーケティングの強化も掲げられており、実際に紹介キャンペーンの開催や、三木谷社長の紹介ページに関するポストも話題になっています。
回線数はともかく、ARPUは増えるのでしょうか (これは私の感想)。
OpenAI との協業等
楽天グループは最近、ChatGPTを提供するOpenAIとの協業に関するプレスリリースも出しています。
企業向けAIプラットフォーム “Rakuten AI for Business” や、通信事業向けのAIツール等が挙げられています。
あと、これは OpenAI でなくデロイト トーマツ コンサルティングの支援ですが、楽天証券で “投資相談AIアバター” というサービスも開発しているようです。
上記のような分野は、楽天経済圏民が直接意識することは少ないはずですが、一応動向として。
(余談) Amazonが楽天をスパイ!?
ちょっと余談気味ですが、面白い話題です。
Amazonが設立した会社が覆面で楽天に出店して情報収集していいたというニュースも (以下は日経新聞の記事ですが、その元ネタはウォールストリートジャーナルの記事)。
実際、楽天市場の中に、Amazonが設立したと言われるビックリバーサービスジャパン合同会社のショップページがあります。現在、店舗の改装中ということで何も出品されていないようです。
さらに、私が独自に発見したスクープ候補 (?) として、これは元ネタのウォールストリートジャーナルの記事でも触れられていないのですが、ビックリバーサービスジャパン合同会社が手がけているらしい HigashiNishi というブランドのメルカリショップの運営者は誰でしょうか…というネタもあります(メルカリショップ内のページから運営者情報を請求することができます)。
HigashiNishi というブランドのショップですが、Not so Apeというブランドの商品が売られています。
何でしょう、猿の絵柄…ですかね?これは。
やや話が逸れましたが、つまり楽天は Amazon から競合として意識されているということですね。
なお、Amazonは、ふるさと納税参画や 共通ポイントであるdポイントとの連携の話もあり、楽天グループと競合する領域がより増えています。
私の期待や予想
ここまで、気になるニュースを長々と挙げてきましたが、以降は私の個人的な感想や予想を中心に記載していきます。見当外れな話もあるかと思いますが、あくまで個人の見解ということでご理解ください。
楽天ペイのスーパーアプリ化
楽天グループの金融サービスにおいて、2024年 (~2025年) のメイン施策は “楽天ペイのスーパーアプリ化” かと思いました。1つのアプリで様々なサービスの利用を完結することができるという意味です。
特に、以下の点に注目しています。
- “楽天ペイ” アプリへの決済、ポイント機能の集約に加え、さらなる機能追加にも期待
- 従来のアプリのラインナップは冗長だと思っていたので賛成 (むしろ、やっと感すらある)
- 楽天キャッシュ払いのクレジットカード番号付与やタッチ決済対応に期待
個人的には、Oliveに対抗して楽天カードの支払いモードをクレジット/楽天キャッシュ/デビット/ポイントの利用優先順位を組み合わせられる実装(切り替えでなく)になれば最強だと思う - 楽天Edyのサービスの扱いは、日本国内に一定の Felica 慣れユーザがいる限り継続されるはず
iPhoneにおける楽天Edyから楽天キャッシュへのチャージ機能の実装はお蔵入りか
- 楽天キャッシュのポイント付与タイミングの出口シフトは給与デジタル払いとも相性が抜群 (後述)
- 1.5%還元で使えるなら、給与の一部を毎月楽天キャッシュにチャージしたい層は多そう
- 給与デジタル払いの事業は、給与を支払う法人と、給与を受け取る個人の両方にアプローチでき、さらに決済機能を利用した際のデータ収集もできるので顧客獲得 (キャンペーン) にも力を入れるはず
- あと半分は期待だが、楽天ギフトカードは当面無くならないと思う
- その他、様々な機能も楽天ペイと連携するはず
- 楽天家計簿は、有料プラン含めた強化や、楽天ペイへのダッシュボード実装等にも期待
各種家計簿アプリは基本的に “○○ペイ” に未対応なので、そのあたりの支出管理/資産管理も使いやすければ強い - 金融事業においても、AIの活用やアピールをする場面も増えてくるはず (役立つとは言っていない)
- 楽天グループにはECや通信もあるので、やはり経済圏として全体的に強い
- 楽天家計簿は、有料プラン含めた強化や、楽天ペイへのダッシュボード実装等にも期待
- そして、楽天ペイが次第に “重たいアプリ” になる未来も…
特に楽天キャッシュへの期待は大
私が最強電子マネーだと思っている楽天キャッシュに関しては期待感も大きいです。
中でも、楽天キャッシュ関連のポイント付与タイミングが出口にシフトする件は、流石だなと思いました。この1手で、コード決済や証券における競争力、また給与デジタル払いのサービスの訴求力をグンと引き上げている印象です。
コード決済については、残高払いの基本的な還元率に関してはPayPayのそれを上回るパフォーマンスになります (“まとめて支払い“ルートは除く)。PayPay側も何かしら対策はするでしょうが。
証券についても、楽天キャッシュによる投資信託の積立が0.5%還元になる点は、クレカ積立上限額の引き上げ後の競争において、毎月10万円を超える積立でもさらにポイント還元を受けられる手段がある分、競合のSBI 証券やauカブコム証券と比べて有利なアピールが可能になります (我が家では妻が楽天証券でNISA中)。
また、給与デジタル払いは個人向け総合金融サービスという印象もありますが、個人と法人の両方の顧客獲得とデータ収集ができるので、強めのキャンペーンも行われるはずです。いつ始まるのかは知りませんが。
そのような中、楽天銀行にとって、本再編は、フィンテック事業を運営する他の各社とのより深度ある連携を実現し、個人ビジネスにおいては、顧客のライフサイクル・ライフステージに応じた総合金融サービスの提供、法人ビジネスにおいては、フィンテック事業の法人顧客基盤に対する楽天銀行の法人サービスの提供の推進・加速に寄与するものと判断し、本再編の更なる検討・協議を進めることを決定いたしました。
出典:フィンテック事業再編に向けた協議の開始に関するお知らせ | 楽天グループ株式会社
ちなみに、ポイ活ユーザーにとって大注目の楽天ギフトカードについては、当面無くならないと思って (期待しながら信じて) います。POSAカードは経済圏外からのユーザー呼び込みによる拡販効果もあり、また日本においてキャッシュレス化が進むフェーズのうちは業界全体として電子マネー残高が増加トレンドにあるでしょうから、特にその時期にわざわざギフトカード販売を終了するほどの理由は無いはずです。ポイ活ユーザーによる拡散効果もあるでしょうし。
あと余談ですが、楽天キャッシュ プレミアム型と基本型が混在している場合にプレミアム型が優先的に使用されるという仕様は、設定変更できるよう見直した方が良いと思います (PayPayはマネーライト優先なので逆)。
SMFG(三井住友系) × SBI は?
私は三井住友カード プラチナプリファードをメインカードとして使用しているので、SMFG(三井住友系) × SBI の動向についても気になります。
特に三井住友銀行がそもそもメガな銀行なので、資金移動業者を競合とみなした場合の対策や、手持ちのバーコード決済が無い中でのスタンスに引き続き注目です。私としては、給与デジタル払いはオプションの1つなので、銀行そのもののサービスが良くなれば済む話だと思っています。
楽天モバイルや買収をめぐる色々
楽天モバイルの業績に由来するドタバタについては、本記事の作成時点では確定したニュースが無いので、経過を見守っています。というか、よほど業界や経済にとって良くない方向に進まない限り、私としてはどうなっても構いません (雑!)。
一応、メモ程度に残しておくと、先日、三菱商事と KDDI が、ローソンの株を50%ずつ保有することになったのですが、その後 KDDI による楽天の買収があるのかどうかが話題になっています。
ちなみに、KDDIと楽天モバイルの間には、以前からローミング協定が締結されており、2023年5月にはその期限が2026年9月まで延長されています。最初から買収と関係があった訳ではないと思いますが、既に通信事業で連携しているということです。
また、仮にそのような買収が進むとしたら、楽天証券の株式に関してはみずほ証券が49%保有しているので、そのあたりの調整もあるはずです (参考:2024年とメガバンクと経済圏)。ちなみに、みずほ証券と楽天証券により設立された新会社 (MiRaIウェルス・パートナーズ) で事業開始されるところです。
(7/4追記) 招待制だった楽天ブラックカードが申込み可能に
これまで招待経由でのみ発行可能だった楽天ブラックカードが、2024年7月1日から条件を満たした場合に利用者からの申込みも可能になりました(条件:年会費11,000円(税込)の楽天プレミアムカードを保有し、所定の12か月間で500万円以上利用)。また、そのサービスや特典が公開されています。
まとめ
本記事では、楽天経済圏の2024年の動向をゆるくまとめつつ、たまにこの記事の更新もしながら見届けていきたいと思います。
素人視点で、先に気になるニュース (fact) を、次に私の期待や予想 (rumor) をまとめる流れです。