【違和感】2025年になっても他社クレカは使えるらしいPayPay ―利用不可を撤回か―
PayPayの話です。先日はPayPayから他社クレカ登録を削除するとポイントを獲得できるという踏み絵(?)のようなキャンペーンまで開催しておいて、結局、他社クレカ登録を不可にはしない方向で検討しているようです。
経緯
PayPayでは、以前から自社クレカ (PayPayカード、PayPayカード ゴールド) 以外のクレカ (他社クレカ) が登録不可になる予定でした。
当初の予定では、PayPayへの他社クレカ登録が不可になる日付は2023年8月1日だったのですが、それが1年半近く延期され、2025年1月の予定になっていました。
最近では、PayPayカードのキャンペーンにおいて、PayPayから他社クレカ登録を削除するとポイントを獲得できるという、まるで踏み絵(?)のような施策もあったり。
そしていよいよ、来たる2025年1月に他社クレカ排除か…と思いきや、今度はさらに再延期どころか一転して、この他社クレカ登録不可の方針自体が見送られる可能性も。
ということで、まだ使えるみたいです、PayPayの他社クレカ登録。
他社クレカの新たな決済方式が2024年春発表、夏以降開始
2024年12月5日のお知らせです。
私の独断と偏見で要点を抜粋します。詳細は原文をご覧ください。
(抜粋)
…
現在、ユーザーの皆さまに他社クレジットカードを引き続きご利用いただくための新たな利用方式を検討しています。
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新たな利用方式は、2025年夏以降の提供を予定しており、それまでは現在の利用方式で、ユーザーの皆さまにご利用いただくことといたしました。
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PayPayでは、2018年10月のサービス開始以来、他社クレジットカードによる決済サービスにおいて、各国際ブランド等が定めている手数料が、決済システム利用料を上回っている状態が継続しています。
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新たな利用方式では、改めて他社クレジットカードの登録手続きを行っていただくこと、また、クレジットカードの国際ブランド(Visa・Mastercard)との協議次第で、利用料をご負担いただく可能性がございます。
…
出典:2025年以降の他社クレジットカードの利用について – PayPayからのお知らせ
文章にちょっと違和感もありますが(後述)、ひとまず2025年夏頃までは、PayPayにて他社クレカを今までどおり利用できます。
あとは、例によって他社クレカよりPayPayカードを含むPayPayクレジットの方がお得ですよ、という説明も載っています。
(感想) 違和感がある
あくまで私の感想ですが、ちょっと変な感じがしました。
- 違和感
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- 他社クレカ登録不可を一度延期したのに、今回さらに再延期どころか見送りを検討している
- 踏み絵(?)のようなキャンペーンまで開催しておいて、引き続き他社クレカを許容する
- お知らせの文章に、ユーザーや国際ブランドに対する含みを感じる(後述)
今後、PayPayへの他社クレカ登録を継続できる方向性のようなので、ユーザーにとってのマイナス要素は緩和されています。ただ、過去の延期や他社クレカの登録解除キャンペーン等の経緯とは、つじつまが合いません。
ちなみに昨年、延期を発表したときのコメントは、”「PayPay」と「PayPayカード」をご利用いただくユーザーにとって最高の体験を提供するため、私たちが提供するサービスを徹底的に磨き込む期間にします” でした。
しかし、これに対する現状として、”金融サービスを磨き込んだら他社クレカは排除できる” というロジックの証明はできていないように見えます。
また、先日は楽天ペイが他社クレカ登録可能であることをアピールする一幕もあった気がしますが、そういった競合の決済サービス(経済圏)の考慮もあるでしょう。
いずれにせよ、今までの経緯に対して、今回のお知らせ内容には一貫性がありません。違和感があります。
ユーザーや国際ブランドに対する含み
お知らせの文章も、ちょっと気になりました。
- ユーザーに対して
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“ご利用いただくための新たな利用方式“、”ご利用いただくことといたしました” のように、ユーザーが他社クレカを登録してPayPayを利用することをPayPay側で決定しているような文体になっています。変な例えですが、”フォークと箸がありますが、フォークをご利用いただくことといたしました” みたいな。ユーザー主体の表現ではないですね。
どういうことかと言うと、これも例として、”他社クレカを利用したいという要望が多数あったので、そのように利用したいユーザーの方には” と添えてみるとか(実態はどうか知りませんが)、”ご利用いただくため(こと)” でなく “ご利用いただけるようにするため(こと)” のようにあくまでユーザーに選択肢を提示する表現にするとか、文章を少し変えるだけでスッと読める気がするので、どうしてこんな表現になっているんだろうと思いました。私は。
- 国際ブランドに対して
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各国際ブランド等が定めている手数料(費用)が、決済システム利用料(収入)を上回っているという説明は、PayPayが他社クレカ決済分に関しては赤字(逆ざや)です、という意味だと理解しました。その上で、クレジットカードの国際ブランド(Visa・Mastercard)との協議次第で、利用料の負担を求める可能性があるという点にも言及しています(JAL PayもVisaブランドからのチャージは手数料が利用者負担)。
このように、現状や今後の見込みをきちんと開示してもらえるのは良いことだと思うのですが、書き方がやや露骨で、批判の的を国際ブランド側に向けようと誘導しているように見えなくもありません。実際にそういうムーブメントが起きたら、それはそれで面白いというのは別の話。
…という感じですが、あくまで個人の感想です。
他社クレカ排除がどうでもよくなってきた説
総じて、上記の違和感に対し、後述の決算の状況も考慮すると、PayPayカード (PayPayクレジット含む) をはじめファイナンス事業がそれなりに順調なので、わざわざ他社クレカを排除する理由をほとんど失いつつある状況だと考えればスッキリするのでは。
前述の手数料の逆ざやについても、利用者にある程度の負担を求めればPayPayとして損益への悪影響は緩和できます。ソフトバンクのファイナンス事業としては、それで採算に支障がなければOKくらいのノリかなと。
今回のお知らせは、”他社クレカ登録ができるままにしておけば該当のユーザー層はPayPayを利用し続けてくれるだろうし、利用料を負担させたとしてもその批判はさらっと国際ブランド側に向けておけば良いだろう” というシナリオに向けた布石かもしれません。
決算では、PayPay黒字化、ファイナンス事業改善
少しだけ、決算発表の内容にも触れておきます。
PayPay連結(PayPayやPayPayカード)が黒字化したようです。おめでとうございます。
ファイナンスセグメントの営業利益に関しては、2024年度の通期業績予想では30億だったところ、上期実績で136億を達成したので進捗率にして453%。上半期で既に今年度分の利益を4.5回分も達成してしまった訳ですね。
(余談) 100株でPayPayマネーライト1,000円分の株主優待
なお、ソフトバンク(9434)では、100株保有していると株主優待として1,000円分のPayPayマネーライトを受け取ることができます。私もなんとなく100株持ってます。
2024年12月5日の終値で1株197.4円なので、100株だと19,740円です。通常の配当金とは別に、PayPayマネーライトの株主優待があるので実質利回りとしては悪くないかと。(特定の銘柄をオススメするものではありません)
(参考) 他社クレカの利用は1%程度
日経新聞によると、決済回数ベースでは他社クレカの利用は1%程度と説明されています。
1カ月の総決済回数に占める他社カードの割合は1%程度にとどまるが、少数利用者に配慮した
出典:PayPay、他社クレカの利用停止撤回 反発の声に配慮 – 日本経済新聞
少ない割合ですね。決済回数ベースでなく取扱高ベースの割合は分かりませんが。
やはり、純粋に “小数利用者に配慮した” というだけではスッキリ説明がつかない事情はありそうです。
PayPayカードは便利になりつつ
なお、2024年8月には、PayPayカードを複数保有できるようになり、サブカードにもメインカードにも使いやすくなっています。
私もPayPayカードを発行してみました。
まとめ
2025年になってもPayPayで他社クレカが使えるらしい件をまとめてみました。
私は最近、楽天ペイがメインです。PayPayしか使えないお店も減ってきましたね。