【主要ポイントの使い勝手を比較】R/V/d/Po/Paの違い (期間限定Pも)
ポイ活や経済圏を利用して獲得できるポイントに対する満足感は、そのポイントの使い勝手に帰結するのではないでしょうか。自分にとって使いやすいポイントなら、それまでの工夫や労力が報われますし、残念ながらその逆もあり得ます。
本記事では、各ポイントの使い勝手を私の主観に基づいた項目ごとに比較してみます。比較対象は、台頭する各経済圏の楽天ポイント(R)、Vポイント(V)、dポイント(d)、Ponta(Po)、PayPayポイント(Pa)です。使い道に悩むことの多い期間限定Pも含めています。
経緯
ポイ活について調べていると、”楽天の期間限定ポイントって使いづらくない?“とか、”dポイントが使いやすくなったな“、”Vポイント統合後もまぁ悪くないか” などと考えることが多いです。貯めやすさだけでなく使いやすさも気になるということです。
貯まったポイントは使うことによって初めてその経済的利益を享受できるものなので、やはりポイントの使い勝手は大切です。ということで、各ポイントの出口、使い勝手に着目して自分なりに整理、可視化してみようと。
なお、本記事ではポイントの貯めやすさについては考慮しません。使い勝手だけに着目しています。
観点
以下の観点で各ポイントを比較します。
- 比較の方法
-
- 通常ポイントと期間限定ポイントの両方を対象とする
- ポイントの主な用途を項目化し、で評価する 、 、
項目:経済圏サービス数、有効期限の延長、ポイント運用、ポイント投資、クレカ充当、他社Pに交換、マイルに交換、○○ペイ利用、現金化 - をスコアとして比較する の数
- 備考
-
- スコアの高いポイントが誰にとっても最適という意味ではない(自分に合った用途で使えるポイントが一番)
- ポイントの貯めやすさ(発行量)については今回は考慮しない
- Vポイントについては2024年の統合後のVポイント、PayPayポイントの期間限定ポイントは2025年2月1日以降のPayPayポイント(期間限定)(FAQ)を対象とする
- 各ポイントの加盟店数については評価対象とせず、参考値のみ記載する(※)
※部分の説明はこちら (細かい話)
※ 近年では純粋なポイントサービスの加盟店だけでなく○○ペイやクレカを利用できるお店等も含めた数を公表している場合もあって比較が難しいため、評価対象としないことにします。ポイントで支払える○○ペイやクレカ利用金額のポイント充当も広義には “ポイントの利用” だと思いますが、それらも加えてしまうと決済領域の話も混ざってしまい純粋なポイントサービスの加盟店の数としての単純比較ができないと判断しました。せめて各社の数え方が揃っていれば良かったのですが…。なお、使える店舗数はどのポイントも十分に多いので、最終的な評価は普段利用するお店等が対応しているかどうかという個人の生活圏事情に依存すると思います。
結果:各ポイントの比較とスコア
前述の観点に沿って整理した結果、以下のようになりました。
- 表中、
/
(スラッシュ)があるものは、通常ポイント / 期間限定ポイント
を表す - 記号は以下の通り
(あるいは”良い”)
: 可と言えば可 (私の主観では微妙なので評価しづらい)
: 不可
– : 評価対象外/データなし
ポイント | 楽天Vポイント | dポイント | Ponta | ポイント | PayPay|
---|---|---|---|---|---|
参考 頻出フレーズ (親しみやすさ) | – | ぶいぶい | – | ぽんぽん | ぺいぺい |
参考値 加盟店数 (※1) | 約500万箇所 (2022年) | 15.5万店舗 Visa加盟店は750万店舗 (2024年) | 11万店舗 d払い等含め536万カ所 (2024年) | 31万店舗 au PAY等含め713万カ所 (2024年) | – PayPay等含め1,000万カ所 (2024年) |
参考値 会員数 (※2) | 1億超 (2024年) | 1.3億 (2024年) | 1億超 (2024年) | 1.16億超 (2024年) | 6,600万人 (2024年) |
参考値 年間P発行数 (※2) | 約6,500億P (2023年実績) | – | 約2,703億P (2021年度利用実績) | – | 約6,000億P (2022年度実績) |
経済圏 サービス数 (※3) | 42 / | – | 12 / | 11 /- | 6 / |
有効期限の延長 (※4) | (1年) / | (1年) / | (1年) / | (1年) /- | (期限なし) / |
ポイント運用 (※5) | / | / | / | /- | / |
ポイント投資 (※5) | / | / | / | /- | / |
クレカ充当 (※6) | / | / | / | /- | / |
他社Pに交換 (※7) | / | / | / | /- | / |
マイルに交換 (※8) | (ANA/JAL 50%) / | (ANA 50% ソラシドエア 200%) / | (JAL 50%) / | (JAL 50%) /- | / |
○○ペイ利用 (※9) | /(楽天ペイ) | /(VポイントPay) | /(d払い) | /- (au PAY) | / (PayPay) |
現金化 (※10) | / | / | / | /- (要auじぶん銀行) | / |
の数 | 7 / 2 | 5 / 4 | 6 / 3 | 7 / – | 5 / 0 |
※部分の説明はこちら (細かい話)
※1 加盟店数の数え方に統一感が無いので単純比較は不可(ポイントを使える○○ペイやクレカでの決済ができる店舗等の数が含まれているケースあり)
・楽天ポイント:楽天ペイ、楽天ポイントカード、楽天Edyの利用可能箇所数合計(おそらく楽天市場や楽天トラベル等の各店舗も含まれるのでは)
・Vポイント:Visa加盟店は日本750万店舗、世界1億店舗
・Ponta:au PAY等のポイント・決済加盟店は713万か所
・dポイント:d払い等の決済・ポイント利用可能箇所は536万カ所
・PayPayポイント:決済と関係のない共通ポイントそのものとしての加盟店はほぼ無し(PayPayポイントアップ店のWINTICKETくらい)、PayPayやPayPayカードでの買い物は1,000万ヵ所以上で可能とあるが(クレカ加盟店数が足された計算)、PayPayを利用可能な店舗数は2022年度下期の累計410万カ所以上を最後に公表値が見当たらない
※2 会員数の数え方に統一感があるのか不明なので単純比較は不可
※3 ポイントを利用できる自社サービスの数
・Vポイントは自社経済圏を標ぼうしておらず自社サービスの範囲が曖昧であり、また数えたとしても少ないので省略
・Pontaは提携店等のうちau/Ponta/KDDIのブランドもしくはKDDIが100%親会社で展開するサービス(au/Relux/au PAYマーケット/auブックパス/Pontaマンガ/au PAY カード/au PAY(コード支払い)/Pontaかんたん保険/Dental Ponta)にauカブコム証券とau PAY ふるさと納税を追加
・dポイントはdポイントをつかう方法・つかえるサービスのうち”ドコモのつかえるサービス”と”ドコモのつかえるプログラム”のサービス数
・PayPayポイントはPayPayカード、ソフトバンク、Yahoo!ショッピング、Yahoo!フリマ、Yahoo!オークション、ZOZOTOWN、Yahoo!トラベル
※4 ポイント獲得等によりポイントの有効期限が延びるかどうか
※5 ポイント運用はポイントのまま擬似的に資産運用するものを指し、ポイント投資は実際に証券を購入し、NISA口座での保有や、売却時には現金化も可能なものを指す(dポイントは”ポイント投資”というサービス名称でポイント運用が可能なのでややこしい)。
※6 自社クレカの利用代金の支払いにポイントを充当できるか
※7 マイルへの交換(別項目)を除いて、他社ポイントに交換できても交換先の活用法が少ないものはとし、WAON POINTとJRキューポに交換できるVポイントはとした
※8 他社ポイントに交換してからマイルに交換する方法については考慮していない
※9 自社決済サービス(○○ペイ)の支払いにポイントを充当できるか
※10 ポイント投資等のリスク資産を介さずポイントをその額面のまま現金化できるか
・Pontaはau PAY残高にチャージすると、送金・出金が可能な残高になり(上限は月2万円)、auじぶん銀行に手数料無料で出金可能。
感想:各ポイントのコメントあれこれ
上記の比較の結果、スコアとしては通常ポイントでは楽天ポイントとPontaが最も高く、次いでdポイント、Vポイントの順になりました。通常ポイントと期間限定ポイントの合計値で見るとVポイント、dポイントも高いスコアとなります。なお、Pontaでは期間限定ポイントを評価対象外としています。
それぞれのポイントについてコメントします。
楽天ポイント スコア: 7 / 2
楽天ポイントは、ECを系譜とした経済圏ならではの自社サービス数の多さが魅力的です。楽天のサービス内でポイントを使えるという分かりやすさと安心感があります。
ポイントの貯めやすさは今回の評価対象には含めていませんが、楽天スーパーSALEや楽天お買い物マラソン等の定期開催イベントで期間限定ポイントをたっぷりと発行することによりボリューム感のあるポイント経済圏を構築している印象です。
なお、通常ポイントの使い勝手が良い一方で、期間限定ポイントの用途は限られているので、そのあたりは工夫が必要です。個人的には楽天キャッシュも含めた使い分けを押さえておくのがオススメです。
Vポイント スコア: 5 /4
Vポイントは、それ自体が “経済圏” を標ぼうしておらず、他のポイントサービスとは異なり “共通ポイント” としての色が強いです。一応、SMFG(三井住友カードや三井住友銀行)やSBI証券においてはVポイントがメインのポイントサービスという位置づけにはなっています。私自身、Vポイントをメインポイントとしていますが、主な使い道は三井住友カードのクレカ利用金額への充当です。
他のポイント経済圏に比べ、非金融サービスのラインナップとしては物足りなさを感じます。またポイント運用のサービスもありません。
○○ペイに関しては、ポイントを利用できる店舗としてVisa加盟店数をアピールしていますが(VポイントPayでのタッチ決済)、三井住友カード/Oliveのユーザであれば、普通にクレカで決済をして、その利用金額にポイントを充当した方が還元率の面ではお得であるため、VポイントPayにメリットが無く、ただただコード決済を使えないことにより決済できない場面が生じ得るというデメリットが残るだけなので、これは微妙だと判断しています。
また、ポイントの種類としては、キャンペーンによっては期間限定ポイントが付与されることもありますが、そのようなキャンペーンに参加しない方にとっては、通常ポイントを利用する機会がほとんどかと思います。ちなみに、期間限定ポイントであっても利用可能な用途は通常ポイントと変わらない点はメリットです。
あと、他社ポイントへの交換については、WAON POINTとJRキューポに交換できる点は良いですね。ウエル活にも。
dポイント スコア: 6 / 3
dポイントは、2024年のdカードPLATINUMのリリースに合わせてポイントサービスの仕様改善も多く発表され、かなり使い勝手が良くなりました。
特に、期間限定ポイントをポイント投資やクレカ利用金額への充当に利用できる点はとても優秀で、楽天ポイントに比べ期間限定ポイントの使い勝手において明確な優位性があります。この点はいつか改定があるかもしれませんが、ドコモの顧客基盤と収益力によって提供されている強力なプロモーションだと思います。
Ponta スコア: 7 / –
Pontaは、Vポイントと同じように従来からある “共通ポイント” らしいポイントサービスであり、利用できる用途が最も充実しています。ポイントをお買い物で使用する以外に、投資や現金化にも柔軟に対応でき、ポイント自体の基本性能が高いです。
なお、Ponta自体には期間限定ポイントがないため(Pontaと直接関係のないリクルート期間限定ポイントとサイト限定ポイントはリクルートが管理しており、ロイヤリティマーケティングが運営している訳ではなさそう)、今回の比較では通常ポイントとしての仕様のみを評価しました。
参考までに、Ponta自体はKDDI(au)でなく株式会社ロイヤリティ マーケティングが運営するサービスであり、Ponta経済圏の事業主体をKDDIとするなら、その中心的存在であるポイントサービスが他社製という恰好になっています。
ロイヤリティ マーケティングの株主構成は以下の通りで、2024年にはKDDIと三菱商事がローソンを共同経営することになったので株式保有率の6割以上は “ローソン勢(?)” ですが、Pontaポイント全体としては株式会社リクルート等の他のステークホルダーが存在します。
- (参考) 株式会社 ロイヤリティ マーケティングの株主
-
三菱商事株式会社 … 22.37%
株式会社ローソン … 20.00%
KDDI株式会社 … 20.00%
株式会社リクルート … 15.00%
日本航空株式会社 … 15.00%
株式会社三菱UFJ銀行 … 5.00%
株式会社ゲオホールディングス … 2.63%
PayPayポイント スコア: 5 / 0
PayPayポイントは、2023年に共通ポイント化を宣言したのかと思ったりもしましたが、その後、PayPayのポイントカードが登場するでもなく、また純粋なポイントサービス加盟店という意味での対象店舗が増えるでもなかったので、ポイントサービスとしてのスタンスが不透明な印象です。
経済圏としては、PayPayやPayPayカード等を提供する決済サービス等の事業が黒字化するなど順調な一方、PayPay以外でのポイントの使い勝手や、ポイントを利用可能な経済圏としての自社サービスの種類や数は物足りないように思います。
あと余談ですが、先日はPayPayの他社クレカ利用不可の件も撤回らしき発表があったり、近年は方針がフラフラしているようにも感じています。
今後に期待ですかね。
結論:自分に合った用途で使えればOK
ここまで、各ポイントの使い勝手だけを私の主観に基づいた項目ごとに比較してみましたが、スコアが高いから必ずしもオススメという訳でなく、自分に合った用途で使えるポイントが一番だと思います。
ポイントの使い道においては、ECサイトや生活インフラ(通信回線や電力等)、その他の各種サービスでポイントが使えることを重視するのも良いでしょうし、投資やクレカ利用金額への充当、あるいは現金化等の経済性を追求するのも良いと思います。
お気に入りのポイントをうまく活用してお得に過ごしたいですね。
我が家では、メインカードとして三井住友カードを、メインポイントとしてVポイントを使用しています。
補足
課税前金額に対するポイント利用
自社サービスでのポイント利用に関しては、消費税額を加算する前の金額からポイント利用分を減算し、その減算後の金額に対する消費税額を加算することができるので、ポイント利用分に対する消費税額を安くすることができます。
例えば、dポイントのドコモ利用料金の支払いに対する充当などです。dカードで支払った際にポイント還元率がアップするドコモ利用料金に関しては、ポイント還元で損をしないよう1,000円未満の端数分に対してのみポイントを利用する等が考えられます。
このような点は本記事に反映できていなかったので、また機会があれば見直したいと思います。
参考情報
まとめ
本記事では、各ポイントの使い勝手を私の主観に基づいた項目ごとに比較してみました。