【鼻喉の花粉も洗い流す】鼻うがいのメリットや商品比較等、初心者向け解説
花粉症等のアレルギー症状や副鼻腔炎(蓄膿症)、風邪等の対策、あるいは乾燥や黄砂、PM2.5といった空気のコンディションに応じた鼻喉のケアを行う方法の1つとして鼻うがいがあります。
私自身、花粉症があるほか、乾燥時や外出時に鼻喉が痛くなることも多いので、特に冬~春くらいのシーズンにおいては体調管理のための鼻うがいは必須のルーチンです。過去にアレルギー症状からの上咽頭炎が辛かった経験もあり、予防や症状緩和のためにも欠かせない習慣になっています。本記事の作成時点で鼻うがいを10年間近く続けています。
本記事では、鼻うがいのメリットや実際にいくつかの鼻うがいグッズを使ってみた感想、また鼻喉のケアについて理解を深めるための補足情報をいくつかまとめて、できるだけ初心者の方にも分かりやすいよう、でもなるべく詳しく解説していきます。
鼻うがいのメリット
鼻がツーンとならない水(生理食塩水と同等)で鼻の奥の喉を洗い流してスッキリすること、つまり鼻うがいについての話をします。

上図で示されている “上咽頭” が重要で、喉が痛いときはココが炎症になっていることも多いのでは。副鼻腔炎の方なら、”鼻腔” が辛かったりするかと思います。
上咽頭には免疫機能が集まっており、炎症がひどくなると頭痛や倦怠感、気持ち悪さ、眠気等、なんとも表現しづらい多種多様な神経的な不調に見舞われることが(私は)あります。そのため、鼻喉が弱い方、アレルギーのある方には丁寧なケアをオススメしたいところ。副鼻腔炎の場合は、歯の付近や顔面が痛くなることもありますかね。
ただ、これらの “上咽頭” や “鼻腔” は、通常の口から水を入れるうがいでは簡単に洗い流すことができません。位置的に口蓋垂(のどちんこ)より上にあるので通常の姿勢では水が届きませんし、そもそも普通の水が上咽頭の粘膜に触れると浸透圧の関係でツーンと痛くなってしまいます。
本記事では、そういった課題に対応する “上咽頭” や “鼻腔” のケア方法の1つとして鼻うがいをご紹介します。
- 鼻喉を洗い流して異物の排出を促し清潔に保つ
- 乾燥した粘膜を保湿する
- 上記により、鼻喉の不調を緩和する
上記は、私の経験上、特にメリットを感じている3点です
お手軽なのはハナノア
いくつかの商品を比較する前に、まずお手軽で初心者向けの鼻うがいグッズとして、ハナノアを挙げておきます。
私自身、ハナノアをメインで使用していますし、周りの人に初めての鼻うがいをオススメするならハナノアを選びます。
洗浄液を希釈せずそのまま使用でき、症状がひどくない段階における予防や軽い症状の緩和にピッタリの小さなサイズ(20mL)の洗浄器具が用意されています。
他の鼻うがいグッズに比べ、非常に扱いが楽です。

鼻うがいグッズの比較
続いて、鼻うがいグッズをいくつか比較してみます。
鼻うがいグッズ | 洗浄液準備の手間 | 器具洗浄の手間 | 携帯の容易さ | 器具の容量 | 1回あたりコスト ※1 |
---|---|---|---|---|---|
ハナノア 小容器 小林製薬 | 希釈不要 | 作りがシンプル | 液体の持ち運び | 20mL | 33.2円 |
ハナノア シャワータイプ 小林製薬 | 希釈不要 | 液体の持ち運び | 50mL | 83円 | |
ハナノア デカシャワー 小林製薬 | 原液を希釈 | 器具が大きい | 250mL | 100円 | |
チクナイン鼻うがい 小林製薬 | 原液を希釈 | 50mL | 100円 | ||
ハナクリーンS ハンディタイプ 東京鼻科学研究所 | 水に粉末を混ぜる | 作りがやや複雑 | 器具が大きい | 150mL | 25円 |
サイナス・リンス ニールメッド | 水に粉末を混ぜる | 器具が大きい | 240mL | 33.3円 | |
生理食塩水を自作 自己判断で | 自分で作る | お好きな器具で | 用意による | – | ほぼ0円 |
生理食塩水を購入 自己判断で | 希釈不要 | お好きな器具で | 液体の持ち運び | – | 器具が小容量なら安い | –
気になる商品があれば足していくかも
※1 洗浄液を希釈せずに使用するものは、洗浄液の容量を洗浄器具の容量で割った値(洗浄液1本で使える回数)で洗浄液の定価を割ったコスト。洗浄液の原液や粉末を溶かして使用するものは、その現役や粉末の1包あたりのコスト。なお、洗浄器具のコストは除く。金額は税抜。
それぞれの鼻うがいグッズの説明
上記の表で挙げた鼻うがいグッズについてそれぞれ説明します。
ハナノア各種
ハナノアの洗浄器具のサイズは3種類です。症状や用途に応じて選びましょう。
前述のとおり、症状がひどくない段階における予防や軽い症状の緩和にピッタリなのは、一番小さい20mLのサイズだと思います。もうちょっとしっかり洗浄したい場合には50mLを。どちらも洗浄液は同じものを使用できます。一番大きい250mLのサイズについては後述します。
実は、メーカーの説明では20mLでなく50mLの方が鼻うがい初心者向けということになっています。20mLの方は鼻から入れて口から出すタイプ、50mLの方は鼻から入れて鼻から出すタイプです。個人的には、前者の20mLの方が上咽頭の軽い洗浄には使いやすいと思いますが、鼻腔を洗浄したい場合には後者の50mLの方が良いでしょう。
あと、20mLのものは洗浄器具の作りが簡素で、使った後の洗浄も楽ちんです。

出典:ハナノアの商品説明(Amazon)

出典:ハナノアの商品説明(Amazon)

※使っていない予備の容器を撮影(古いので50mLの容器は形が変わっているかも(後述))

※使っていない予備の容器を撮影(古いので50mLの容器は形が変わっているかも(後述))
一番小さい20mL(初心者向け)。

少し大きい50mLのシャワータイプ。

最後に、一番大きい250mLのデカシャワー。

デカシャワーのみ、原液を水で薄めて使用します。もちろん20mLや50mLの洗浄液を入れることもできますが、この容量だと2回で無くなってしまうのでコスパ最悪です。

上記の商品リンクは、洗浄器具が入った商品ですが、2回目以降は洗浄液のみを購入すればOKです。

普通の洗浄液は軽いミントの香りですが、清涼感がアップした爽快クールタイプもあります。

以下はデカシャワー用の洗浄液の原液です。

最も手間がかからないのはハナノアです。私自身、ハナノアをメインで使用しています。
専用の洗浄液はやや高価なので、代わりに後述の生理食塩水を購入しても良いと思います。
チクナイン鼻うがい
続いて、副鼻腔炎の薬のチクナインの関連商品、チクナイン鼻うがい。
ハナノアと同じ小林製薬ですが、濃縮原液を薄めて使用するタイプなので携帯性に優れています。洗浄器具も50mLでコンパクト。洗浄液の香りは、ミントなのか何なのか分かりませんが、スッとする薬品感があるかもしれません。”耳鼻科医が推奨する洗浄液レシピをヒントに開発” だそうですが詳細は不明です。
出張や旅行の際に持ち運ぶなら、これが良いと思います。

以下は洗浄器具が入っていない、原液のみの商品。

洗浄器具は、ハナノアとたぶん同じなのだと思います。

※未使用の容器を撮影

ハナノアの50mLも最近はこのカタチなのでは
※未使用の容器を撮影
ハナクリーンS ハンディタイプ
ハナクリーンS ハンディタイプ。
1979年に耳鼻科医との共同開発で生まれた鼻洗浄機です。洗浄器具は150mLとやや大きめで、作りも凝っています。水温に応じて色が浮かび上がってくる温度計付き。

洗浄液を作るための粉末(サーレS)の容量当たりの単価は安いと思います。


慣れるまではコツが要ると思いますが、しっかり洗浄できます。



私は容量の小さな洗浄器具で十分なので、あまり使用していませんが、しっかり洗浄したいときには頼りになります。
サイナス・リンス
サイナス・リンスも定番の人気商品かと思います。アメリカやカナダでよく売れているようです。
私は容量の小さな洗浄器具を使用しているので、この商品は持っていませんが、大きな容量の洗浄器具を選ぶ際には候補になってきます。

生理食塩水を自作
塩分濃度0.9%の塩水を作れば、洗浄液を購入する必要性はありません。
多少手間をかけても良いという場合には、生理食塩水を自作するのもアリでしょう。
洗浄器具も好きなものを利用できます。
一応、家にあるコップやお椀等でも、鼻うがいをできなくはありません。
生理食塩水を購入
前述のハナノアの洗浄液でも良いのですが、やや高価なので、その代替品の候補としてご紹介します。
香料などが入っていなくても大丈夫なら、以下のような生理食塩水を購入するパターンもあります。
生理食塩水は薬事法によって処方箋が無いと薬局では買えないことになっているため、コンタクトレンズ用理食塩水などを購入して自己判断(自己責任)で使用するケースが多いようです。コメント欄は鼻うがい用途の方に割と好評。

鼻うがいのコツや注意点
一般的な鼻うがいのコツや注意点をいくつか記載しておきます。
- 上を向かず、前かがみの状態で声を出しながら(息を吐きながら)、洗浄液を鼻に流し込む
- 鼻がツーンとならないよう、洗浄液の濃度や温度に気を付ける
- 痛みや違和感がある場合は無理せず中止して、やり方を見直し、自分に合った方法を見つける
- 終わった後は鼻をやさしくかんで残った洗浄液を出す(強くかむと洗浄液が耳の方に移動してしまうことも)
- 鼻うがいをやりすぎない、1日2回まで等(粘膜を傷つけないため)
- 誤嚥しやすい方は鼻うがいをしない
- 炎症や鼻づまり等の症状がひどい場合は、先に医師に相談する
個人的には、起床時や外出先からの帰宅時に鼻うがいで洗浄するのがオススメです。鼻うがいで全てを洗い流すことができなくても、粘膜の保湿さえできれば自然に異物が排出されてスッキリすると思います。
その他の鼻喉ケアグッズ
上記以外の鼻喉ケアのグッズをいくつか載せておきます。
ハナリラは、自分で洗浄液を流し込まなくてもボタンを押すだけで洗浄液が出てくる仕組みになっています。自分で流し込むのがちょっと怖い方や、力加減の調整に自信が無い方に。

鼻うがいでなく、鼻スプレーというグッズもあります。洗面台が無くても場所を選ばずに使えるため、さっと保湿したい場合に最適です。



花粉症でお悩みなら、舌下免疫療法という治療もあります。詳細は医師にご相談を。

また、乾燥した空気が辛い場合には、部屋の加湿をしっかりするのが重要かと思います。
加湿器について詳しくまとめた記事は以下です。

新しい機種の紹介も。

鼻うがいに関する補足情報
鼻うがいについて理解を深めるための補足情報です。
耳鼻科の先生との会話
私が花粉症(アレルギー性鼻炎)で受診している耳鼻科の先生に鼻うがいについて尋ねると、”鼻うがいはやっても良い” くらいの見解だったりします。積極的にオススメはされません。このあたりは先生によるのかも。
確かに、鼻うがいをしたところで、アレルギー反応自体が無くなる訳ではありません。アレルギー症状の基本的な対処としては、点鼻や吸入、服薬等の治療や、先生による鼻処置が効く場面も多いです。
ただ、花粉シーズンでは起床時に上咽頭が辛かったりするので、まず鼻うがいでスッキリさせたくなります。その日の倦怠感や不快感などを含めた体調にも(私は)影響します。
一方で、副鼻腔炎の場合には鼻うがいをオススメされることがあるのかもしれません(後述)。
図
上咽頭って何?鼻と喉ってどう繋がってるの?という疑問を持たれた方は、下図をご参考ください。
上咽頭、中咽頭、下咽頭。

各部の名称。

正面から。

動画
耳鼻科の先生が解説されているYoutube上の動画です。
以下は、マイクロスコープで上咽頭が実際に洗われているのかを確認した動画です。
鼻喉の中を撮影した映像が苦手な方は視聴をお控えください。
論文等
鼻うがい(nasal irrigation、nasal douching、saline Irrigation)が副鼻腔炎に対して推奨されているっぽい情報等を記載します。
以下は、たぶん日本鼻科学会会誌。
BSACI guideline 2007では,鼻副鼻腔炎と鼻茸の治療におけるこれらの種々の治療法の有効性に関して,文献的な EBM レベルの観点からまとめている。それによると,Grade A(強く薦める)の治療法としては,生理食塩水による鼻洗浄,局所ステロイド製剤,坑ヒスタミン剤の追加投与(鼻アレルギー合併例),比較的長期間にわたる経口抗生物質の投与,が挙げられている。
出典:慢性副鼻腔炎のマネージメント ― 通常症例から難治性症例まで ― (竹野 幸夫 広島大学大学院医歯薬学総合研究科, 2010)
上記で触れられているBSACI guideline 2007の記載は、たぶん以下。

※当サイトにて注釈
以下は、韓国の論文らしい(米国国立衛生研究所(NIH)の国立生物工学情報センター(NCBI)が運営するPubMed Central(PMC)に掲載)。
鼻うがいと感染(海外事例)
アメリカにおいて、水道水を用いた鼻うがいにより、水の中に含まれていたアメーバ(ネグレリア・フォーレリ)に感染して死亡した可能性があるという症例が報告されています。
感染すると原発性アメーバ性髄膜脳炎を発症するもので、アメリカでは毎年3人程度が感染し、死に至るケースが多いとのこと。

日本の水道水で同程度のリスクは無いと思っていますが、気になる場合には、水道水を用いた鼻うがいをする前に水の煮沸や器具の洗浄を行うようにした方が良いかもしれません。
前述の鼻うがいグッズは原液や粉末を水道水で希釈することを前提としたものが多いですが、例えば前述のチクナイン鼻うがいの注意書きには、”国内のきれいな水で薄めてください” とあります。
そういった意味では、ハナノアの洗浄液や生理食塩水のように、希釈せずそのまま使える洗浄液は安心感があります。
私は日本の水道水なら気にしませんが、海外旅行時に鼻うがいグッズを携行する際には気を付けようと思いました。
まとめ
本記事では、鼻うがいのメリットや実際にいくつかの鼻うがいグッズを使ってみた感想、また鼻喉のケアについて理解を深めるための補足情報をいくつかまとめて、できるだけ初心者の方にも分かりやすいよう、でもなるべく詳しく解説してみました。


