マネフォ × Olive 新会社で連携…(マネーツリーは?)

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家計簿アプリでも有名なマネーフォワードとOliveの三井住友カードが、それぞれのサービスを掛け合わせた個人向け金融サービスのため新会社を設立するそうです。

その概要と感想をまとめておきます。

出典:マネーフォワードと三井住友カード、個人向け事業における資本業務提携に関する基本合意書の締結について ~お客さま起点の「オープンなお金のプラットフォーム」の創出を目指す~ | 三井住友カード

本記事の内容は、個人的な調査結果や経験、推測、感想に基づいたものです。
正確かどうか、最新かどうかについては、公式情報等をご確認ください。

目次

新会社でマネフォの個人向け事業を承継

2024年7月17日、マネーフォワードと三井住友カードから、マネーフォワードの会社分割(簡易吸収分割)による事業承継及び合弁会社の設立に関する発表がありました。

合弁会社設立&三井住友カードに株式譲渡と第三者割当増資

出資比率をマネーフォワード51%、SMCC49%とする合弁会社を設立し、マネーフォワードの個人向け事業を承継するとのこと。

出典:会社分割(簡易吸収分割)による事業承継及び当社の連結子会社となる合弁会社の設立を目的とした三井住友カード株式会社との基本合意書の締結に関するお知らせ

個人向け事業:Home

分割対象となるのは個人向けのHome事業で、マネーフォワード設立当初からのサービス(祖業)である家計簿アプリ マネーフォワードMEが中心です。

出典:会社分割(簡易吸収分割)による事業承継及び当社の連結子会社となる合弁会社の設立を目的とした三井住友カード株式会社との基本合意書の締結に関するお知らせ

公式ページ、ニュース記事等

各種ソースは以下です。

マネーフォワードのIRライブラリには、2024年7月17日付で以下の資料が掲載されています。

マネフォ が Olive 連携する意味

“マネーフォワード ME”の家計や資産の管理機能と、”Olive”の銀行、決済、ファイナンス、証券などのあらゆる金融機能を掛け合わせることによる、”お客さま起点のオープンなお金のプラットフォーム” の創出が掲げられています。

ちなみに、従来のマネーフォワードのミッションは、似たようなフレーズの “すべての人の、「お金のプラットフォーム」になる。” だったので、このフレーズの半分くらい?の要素が、今回の提携で新会社に持ってかれてますかね(個人の感想です)。

従来のマネーフォワードのミッション
出典:ミッション|株式会社マネーフォワード

家計簿アプリ&資産管理アプリで利用率・認知率がNo.1

私のイメージでは、”家計簿アプリと言えばマネーフォワードME” という印象です。

出典:『マネーフォワード ME』、家計簿アプリおよび資産管理アプリとして 利用率・認知率No.1に|株式会社マネーフォワード

家計簿アプリおよび資産管理アプリとして、利用率・認知率でNo.1とのこと。機能や連携できる金融サービスの数も多いです。

出典:会社分割(簡易吸収分割)による事業承継及び当社の連結子会社となる合弁会社の設立を目的とした三井住友カード株式会社との基本合意書の締結に関するお知らせ

しかし家計簿アプリ単独では限界も

そんな家計簿アプリ界のトップに君臨するマネーフォワードMEですが、順調そうな中にも課題があったようです。

直近の決算説明資料でも、課金ユーザの増加と共に、右肩上がりの業績が示されていますが…。

出典:2024年11月期 第2四半期決算説明資料

こんな側面もあるようで。

さらにサービスの質を高めていくには「単独では限界があった」(辻氏)という。

出典:マネーフォワード、三井住友カードとOliveで連携 個人向け新会社 – 日本経済新聞

実際、Home事業の売上高に占める割合は13%程度(2023年11月期累計)と、法人向けのBusiness事業(バックオフィスSaaS)に比べると小さい規模です。確かに祖業にしては寂しい気もします。

今回の発表前の決算説明資料からも、他の事業に比べ、今期の売上高の伸びも小さい見込みであったことが分かります。全体的な業績が好調そうなので、正直それがどれくらい “限界” なのかはよく分かりませんが。

出典:2024年11月期 第2四半期決算説明資料

個人的に思うのは、家計簿アプリというものの性質上、そのアプリ自体にお金をかけたくないユーザーや、そもそもあまり付加価値を求めていないユーザーが多いのではないかということです。

関連する話題として、マネーフォワードのグループ執行役員である瀧 俊雄氏による以下の記事では、海外の家計簿アプリ(PFMサービス)の大手、Mintのサービス終了を取り上げ、この分野でのマネタイズの難しさが解説されています。

とはいえ、マネーフォワードMEは2022年12月に無料で連携できる金融サービスの上限が4件まで制限されてしまった後も、ユーザー数も課金ユーザー数が増え続けているのはすごいと思います。

ということで マネフォ × Olive…とは?

両者のWinWinを目指して、マネーフォワードMEとOliveが連携することになります。

サービスの幅は増えそうです。

今後の展開予定のサービス
  1. シームレスな資金移動
  2. リアルタイムでの家計管理
  3. 自分だけのローン
  4. ポイントがたまる家計簿
  5. AIアシスタントによるお金のサポート
出典:【補足資料】Homeドメインにおける三井住友カード株式会社(SMBCグループ)との合弁会社設立に関する基本合意書の締結について

ん、これらのサービスがユーザーにとって嬉しいものなのかどうか、ちょっと微妙な感じもしますが…どうですかね。

三井住友カードとの提携とは言うものの、連携するサービスがOliveなので、三井住友銀行のファイナンス色は出てきますよね、当然。

公式ページにもう少し説明はありますが、ぼんやりとした印象です。

ということで、本記事ではこの後さらに今回の発表以外の要素にも注目しつつ、私の感想を記載していきます。

SMFGのファイナンス×データに乗るマネフォ

個人的な感想です。

SMFG (三井住友銀行系) としては、リテールビジネス強化のためにマネーフォワードMEとの提携がちょうど良かったのかと思います。

主なサービス連携は組み込み型金融 × Vポイントのデータ

マネーフォワードMEとの連携により、ユーザとのタッチポイントを増やし、SMFGとしての金融サービス展開やVポイントも含めたデータ利活用につなげる方向でしょう。

例えば、以下のように家計簿アプリに組み込み型金融的にOliveの機能を搭載したり、家計簿アプリの利用状況に応じてVポイント付与したり、といった格好です。家計簿アプリにOliveの機能を入れるという構図は、Oliveが家計簿アプリに乗っているように見えて、実際のスキーム的には逆なのかなと思います。

新会社はマネーフォワードの家計簿アプリにオリーブの機能を入れるような形を想定する。例えばオリーブ口座からほかの銀行の口座にワンタッチで資金を移したり、家計簿の利用状況に応じて共通ポイント「Vポイント」を付与したりするサービスを想定する。

出典:マネーフォワード、三井住友カードとOliveで連携 個人向け新会社 – 日本経済新聞

“マネーフォワードME” の名前は変わるんですかね。どうでしょう。

(半分冗談ですが)心配なのは、ちょっと家計が落ち込んだらすぐ借金を勧めてきたり、逆の場合にはすぐ投資を勧めてきたり、といった実装になったりすると、相当めんどくさい家計簿アプリが誕生しますね…さすがにそんなUXにはならないと思いますが。

あと、データ利活用については、マネーフォワードME内の個人の家計簿データがVポイントを運営するCCC(やSMFG)にとって貴重すぎるデータであることは言うまでもありません。”こんな消費行動をする人の家計の支出や資産の傾向はこう” という分析ができますね。マネーフォワードMEとVポイントの連携が始まる際には、豪華なキャンペーンが開催される裏で、個人情報の取扱いに関する規約の改定もあるはずなので、気になる方はそこも注視しておきましょう。

(後日追記) 利用規約の改定等についてのお知らせも掲載されています。

もしかするとマネーフォワードMEの有料会員はVポイントアッププログラムの対象になるかもしれませんね。

法人向け事業の検討も

ついでに記載しておくと、法人向けの事業の協業も検討するそうです。

併せて、個人事業主や法人向けの事業においても、協業を検討してまいります。

出典:マネーフォワードと三井住友カード、 個人向け事業における資本業務提携に関する基本合意書の締結について|株式会社マネーフォワード

上記の”個人事業主や法人向け”という語順は、以下のように個人向けと法人向けの事業の絶妙なつながりを活かし、三井住友カードが推している個人事業主や法人の領域に向けた訴求とリンクしそうです。

出典:Business Overview for Investors(2024年7月)

新会社は他のメガバンクや経済圏とのクッションになるか

今まで中立的なポジションで様々な金融サービスとの連携を広げてきたマネーフォワードMEですが、今回の提携は他のメガバンクや経済圏が警戒を強めるきっかけにもなるため、その中立性をうまく維持する必要性があります。

例えば、今後のマネーフォワードMEにおいて、SMFGの組み込み型金融が主張し過ぎてしまうと、他社の金融サービスにとって印象が良くないので、新会社が自前のFintechサービスを立ち上げる場面も一部出てくるかもしれません。

個人的には、せっかくの別会社なので、銀行のしがらみを気にせずに、一部のサービスは自前で資金移動業者的に展開していくくらいの感覚を期待しています。

あれ、マネーツリーは?

従来から、Vpassアプリ(三井住友カード)、三井住友銀行アプリ(Olive)では、家計管理機能として家計簿アプリのマネーツリーを利用できるのですが、今回の提携では、その点に一切触れられていません。一言も。色々想像すると怖いですね。

出典:Vpassアプリ 家計管理機能について|クレジットカードの三井住友VISAカード

ちなみに、私はマネーツリーを日常の資産管理用に愛用しています。無料で50件まで金融サービスを登録できます(楽天銀行は有料プランに登録が必要ですが)。生活資金や証券の残高、ポイ活用の資金移動を簡単にまとめておく程度なので、手抜き管理ですが。なお細かい単位での支出管理については、そもそも手間なので必要なときだけです。

OliveがマネーフォワードMEと連携しても、マネーツリーの無料サービスは無くならないでください…。

さらに余談

そう言えば、楽天グループも家計簿アプリを本格提供開始していましたね。

お得さを謳うポイント経済圏の実態は、シンプルな顧客獲得の競争から、露骨なファイナンス×データの競争に移行しつつある印象です。

個人的に、”こんな家計簿アプリの機能があったら良いな” と思うのは、家計の中の支出や資産の状況について家族内で投票できる機能などを設けて、それをきっかけに家族間のマネーリテラシーのギャップをうまく仲介、可視化してくれたりするコラボレーション機能ですかね。あとは各種ペイやプリカ等の決済データをすべて取り込める機能も欲しいですが、それはなかなか無理そう。

最後に、ついでの参考情報として、以下は各家計簿アプリ(PFMサービス)と決済・金融サービスの提携や買収等の事例です(ChatGPTに聞いてみた結果のうち、明らかに誤情報っぽいものを除外した結果です)

  • IntuitがMintを買収 (2009年)
  • Rocket CompaniesがTruebillを買収 (2021年)
  • Empower RetirementがPersonal Capitalを買収 (2020年)

まとめ

家計簿アプリでも有名なマネーフォワードとOliveの三井住友カードの提携についてまとめてみました。

新会社での事業開始は2024年12月の予定とのこと。ちょっと注目。

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