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(1) RHELソースコードの一般公開停止と今後気になる点

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ビジネス用途のLinuxユーザにとっては大きめの話題かと思います。

Red Hat社が、従来は一般公開されていたRHELのソースコードを顧客やパートナーにのみ提供するよう方針変更しました。

各所からの批判も大きいです。

Rocky LinuxやAlmaLinux等のクローンOSへの影響、OSSコミュニティの動向も気になるところ。

本記事では、2023年6月28日時点での状況をまとめておきます。

※その後の経過をまとめた関連記事へのリンクについては、本記事の最後にまとめてあります。

Stable Diffusionで作成
Stable Diffusionで作成

目次

経緯

主に、Red Hatによる以下の発表に関する話です。

今後もまだ展開がありそうですが、現状をまとめていきます。

結構な言いっぷり

2023年6月26日(米国)のブログ記事では、Red Hatが、各所からの批判に対してかなり強い語調で反論しているように思います。

I feel that much of the anger from our recent decision around the downstream sources comes from either those who do not want to pay for the time, effort and resources going into RHEL or those who want to repackage it for their own profit. This demand for RHEL code is disingenuous.

There was a time, not too long ago, that Red Hat found value in the work done by rebuilders like CentOS.

More recently, we have determined that there isn’t value in having a downstream rebuilder.

Ultimately, we do not find value in a RHEL rebuild and we are not under any obligation to make things easier for rebuilders;

Simply rebuilding code, without adding value or changing it in any way, represents a real threat to open source companies everywhere. This is a real threat to open source, and one that has the potential to revert open source back into a hobbyist- and hackers-only activity.
出典:Red Hat’s commitment to open source: A response to the git.centos.org changes

特に、無償のRHELクローンOSのリビルダーや利用者に対し、否定的な表現が多いです。

企業活動として “正論” な部分もあるのでしょうが、OSSという側面からは、関係者にとって残念な方針でもあるでしょう。

RHELソースコードの一般公開停止

従来はgit.centos.orgで一般公開

従来、RHELのソースコードはgit.centos.orgで一般公開されていました (と言っても実際に見たことは無いですが…)。

一般公開停止と限定公開

それが今回、Red Hatによって以下のように変更されました。

  • RHELのソースコードはRed Hat Customer Portal経由でのみ入手可能
    (RHELサブスクリプションを購入した顧客やパートナーのみがアクセス可)

  • 一般公開されたRHEL関連ソースコードのリポジトリはCentOS Streamのみ
    (CentOS Streamはアップストリームなので、RHEL”関連”であって、RHELと同一ではない)

GPLはソースコードの一般公開を求めていない

正確にGPLを理解できている訳ではないですが、バイナリを利用するユーザがソースコードを入手できれば問題無いので、GPL的には、今回のRed Hatの一般公開停止と限定公開自体は問題無いようです(※)。

  • GNU GPL
    (4. Conveying Verbatim Copies.、5. Conveying Modified Source Versions.、6. Conveying Non-Source Forms.あたり)

(※) Software Freedom Conservancy (SFC) の見解

もう少し少し広い範囲の議論として、GPL全体とRHELのビジネスモデルの関係性としての問題点についての話もあります。

影響

RHELクローンOSのビルド

RHELのソースコードを入手できないことにより、Rocky Linux、AlmaLinux、(国産の)MIRACLE LINUXといった各RHELクローンOSにとっては、そのビルドプロセスに変更を余儀なくされる事態に陥りました。

各クローンOSのディストリビューションは、今後のリリースには影響が無いよう対応していく旨をコメントしています。

各ディストリビューションによる対策

Rocky Linux

Rocky Linuxでは、短期的な緩和策を策定済みで、長期的な戦略についても準備中のようです。

While this decision does change the automation we use for building Rocky Linux, we have already created a short term mitigation and are developing the longer term strategy. There will be no disruption or change for any Rocky Linux users, collaborators, or partners.
出典:Rocky Linux Expresses Confidence Despite Red Hat’s Announcement

AlmaLinux

AlmaLinuxの方は、対策を検討中ではあるものの、当面のセキュリティパッチ提供はCentOS Stream と Oracle Linux のアップデートを基に対処していくようです。

The short- and long-term solutions to this change are something we will be discussing over the coming weeks. We spent much of our time today diving deep to ensure we understood the depth of the problem, and discussing our potential options.

No. In the immediate term, our plan is to pull from CentOS Stream updates and Oracle Linux updates to ensure security patches continue to be released.
出典:Impact of RHEL changes to AlmaLinux

Oracle Linuxからはコメントなし

Oracle Linuxはもともと以下の2種類のカーネルが用意されています。

  • RHCK (RHEL互換カーネル、Red Hat Compatible Kernel)
  • UEK (アップストリームのカーネルを基にしたUnbreakable Enterprise Kernel)

前者のRHCKが、今回閉鎖された経路以外からRHELソースコードを入手できているのであれば影響は無いと思いますが、詳細は不明です。

(2023年7月12日 追記) Oracleからブログ記事が発信されたので、以下の記事にまとめてあります。

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MIRACLE LINUXはAlmaLinux の共同開発を先日発表したばかり

MIRACLE LINUX (サイバートラスト) は、つい先日、AlmaLinux の共同開発を発表したばかりです。

OSSコミュニティからの批判

今まで一般公開されていたソースコードが限定公開に変わった訳です。批判されます。

TwitterやYoutube、ブログ記事でも、様々なコメントが見つかります。

(お時間のある方は探してみてください)

今後気になる点

今後、経過を見守りたい点は以下です。

RHELクローンOSの安定的なリリースに対する懸念

ビジネス用途ではRHEL系OSの利用は多いかと思います。

例えば、”本番環境はRHEL、開発環境はRocky LinuxやAlmaLinuxの無償OS” といったパターンもあるでしょう。

今回の件で、これら無償OSを含むRHEL系OSの利用の継続性に関する懸念が増しました。

“RHEL系の無償OSを使い続けて大丈夫?”、”開発環境にRHEL系の無償OSを使い続けることが心配ならそもそも本番環境自体がRHEL系で大丈夫?”、といった懸念です。

もちろん、各クローンOSのディストリビューションは、今後のリリースには影響が無いよう対応していく旨をコメントしていますが、あくまで無償OSなので絶対に大丈夫という保証はありません (もちろん以前から保証があった訳ではありませんが) 。

中長期的な計画に沿って投資や開発を進める企業、組織等にとって、これら無償OSを安定的に利用できないリスクは気になるところです。

経過を見守るか、あるいは必ずしもRHEL系Linuxを使う必要性が無ければ、乗り換えを検討するケースもあるでしょう。

正規に入手したRHELソースコードの再配布

Red Hat Customer Portalから入手したソースコードの再配布はRed Hatの規約によって禁止されているようです。

Unfortunately the way we understand it today, Red Hat’s user interface agreements indicate that re-publishing sources acquired through the customer portal would be a violation of those agreements.
出典:Impact of RHEL changes to AlmaLinux

少し調べてみた結果は、以下の記事にまとめてあります。

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ただ今後、RHELクローンOSに関し、これらの規約がGPLと矛盾しないかといった点も争われるかもしれません。その際には要注目です。

クローンOSを含むOSSコミュニティとの折り合い

付加価値を提供しないまま単にリビルドするだけの行為を、Red Hatがいくら批判しても、RHELの大部分が歴史的なOSSコミュニティの成果によって成り立っているという事実を覆すことはできないでしょう。

Red Hatの主張する “Red Hat’s commitment to open source” が、独りよがりなものになってしまっては、OSSコミュニティとの折り合いがつきません。

同様に、Red Hatが “a hobbyist- and hackers-only activity” を安易に批判し、コミュニティの感情を逆撫ですることも、RHELや商用Linuxの継続性にとって好ましくないはずです。

このあたりも注視したいです。

Enterprise Linuxのエコシステム

そのようなエコシステムというものの実態があるのかどうかは分かりません。

ただ、ダウンストリームであっても、アップストリームに貢献する機会はあるはずなので、そのあたりの成果の可視化や、公正な評価が求められているように思います。

The Rocky Linux community strongly believes in the open source value of collaboration. Rocky Linux contributors have participated as a responsible part of the EL ecosystem, regularly contributing upstream to CentOS Stream as well as Fedora, and other open source projects. These contributions strengthen the entire EL community.
出典:Rocky Linux Expresses Confidence Despite Red Hat’s Announcement

経緯のおさらい

CentOSの件も含めると、営利企業らしい?シナリオを辿っているようにも感じます。

ちなみに、Red Hatは “CentOS” の商標を有しています。

The CentOS Marks are trademarks of Red Hat, Inc. (“Red Hat”).
出典:CentOS Trademark Guidelines

今回の件が、IBMによる影響がどの程度のものであったのかは不明です。

Red Hatが提供しているRHELの無償利用プログラム

以下のようなRHELの無償利用プログラムが用意されています。

Red Hatにとっては、このような形態の無償利用であればOKで、無償クローンOSはNG、ということでしょうか。

Red Hat Developer program

開発者向けに、RHELを16台無償で使用できるプログラムが用意されています(参考)。

RHEL for Open Source Infrastructure.

オープンソースプロジェクトやその支援者向けに、RHELを無償で使用できるプログラムが用意されています。

We want RHEL to be used broadly in upstream open source development, both as a testing platform and as a stable foundation for development. This program is available exclusively to open source projects and other organizations that support the production of open source software.
Extending no-cost Red Hat Enterprise Linux to open source organizations

参考

RHELに添付されているGPL

ちなみに、RHELには、以下のパスにGPL関連のファイルが格納されています。ソースコードの入手に関するofferについても書かれています。

  • /usr/share/doc/redhat-release/GPL
  • /usr/share/doc/redhat-release/GPL-source-offer

実際にソースコードを要求しているツイートを見かけました。

Twitter

まとめ

本記事では、RHELソースコードの一般公開停止と今後気になる点についてまとめてみました。

高品質なソフトウェアを無償で使えるということは、何の上に成り立っているかということも意識しないといけませんね。

なかなか先行きが怪しい面もありますが、経過を見守りたいと思います。

その後の経過に関する記事

その後の経過を、以下の記事にまとめてあります。

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