【株主優待チートツール】楽天証券のらくらく優待取引の概要と注意点(優待クロス取引の一括注文)
楽天証券から1回の注文で優待クロス取引的な3つの注文をまとめて発注してくれるらくらく優待取引というサービスがリリースされました。便利そうなのでチェックしておきましょう。注意点もあります。
楽天証券のらくらく優待取引(優待クロス取引の一括注文)
2025年12月7日より、楽天証券においてらくらく優待取引が使えるようになりました。

従来の(手作業の)優待クロス取引(つなぎ売り)では、3つの注文(①現物買い、②信用売り、③現渡(信用建玉返済))を組み合わせることによって、所定の費用負担のみで株価変動リスクを回避しつつ株主優待の権利だけを獲得できるという点がメリットなのですが、なかなかその手順が難しく、また知識や作業タイミングの確保も必要なので初心者には手を出しづらい取引手法です。…という私も初心者なのでやったことはありません。

出典:楽天証券
そんな株主優待目的の取引を、より簡単に実行できるサービスがらくらく優待取引です。
らくらく優待取引を使うと、手作業の優待クロス取引よりも簡単な手順で株主優待の権利を獲得できます。
- 優待クロス取引を1回の注文で自動化できる
①現物買い、②信用売り、③現渡(信用建玉返済) - 楽天銀行の預金でいつもの取引と同様に資金管理できる
楽天銀行マネーブリッジの自動スイープに対応 - 売買手数料が無料で利用できる(別途貸株料等のコストは発生)
ゼロコースでRクロスとSOR利用

出典:楽天証券
以下のような注文画面で、3つの注文を一括発注できます。


松井証券でも、以前から同様の機能があったようです。楽天証券では制度信用に対応(コストについては後述しますが逆日歩に要注意)、取引可能期間は2か月前からとなっています。貸株料は少しだけ楽天銀行の方が安いですね。

らくらく優待取引で特に注意すべき点
私が、特に注意すべきだと思った点を記載しておきます。
この注意点の趣旨は、らくらく優待取引は継続保有などの条件が無いシンプルな優待クロス取引にのみ対応可能であるというものです。
利用する際には、らくらく優待取引の対象銘柄であっても株主優待の条件をしっかりと確認し(特に継続保有の条件)、らくらく優待取引を使用するだけで優待権利を獲得できる銘柄かどうかを見分ける必要性があります。
さもないと、貸株料などのコストは支払ったものの優待権利を獲得できないという悲惨な結果に陥ってしまう可能性があります。こうなると、全然「らくらく」じゃないですね。
主な注意点は以下です。
- らくらく優待取引は単なる一括注文ツール
基本的に継続保有などの条件が無いシンプルな優待クロス取引にのみ対応可能 - らくらく優待取引(だけ)では対応できない銘柄も検索結果に表示される
継続保有が条件になっている銘柄も、らくらく優待取引で対応可能な銘柄として検索結果に表示されてしまうため選別が必要 - 権利付最終日の2か月前からしか注文できない
株主名簿の記録日/基準日(権利付最終日以外ではないもの)を狙った空クロスはできない - 株主番号維持のための1株(端株)を保有するための注文はできない
各銘柄の株主優待の詳細な条件は、企業の公式サイトや銘柄情報を確認しつつ、参考情報として詳しい方がまとめてくださっているWebサイトやSNSの情報等も確認するのが良いと思います。
らくらく優待取引のコスト概要
らくらく優待取引では、基本的に貸株料等のコストを負担する必要性があります。注文画面で概算費用を確認できるので要チェックです。
必ず、
優待価値 > コスト
となる取引を実施しましょう(あと、株式の現物購入に必要な資金も)。
主なコストは以下です。
- 株式の現物購入のための一時資金:株価 × 優待のために必要な株数
これは優待クロス取引の現渡の後に損益プラスマイナスゼロで戻ってくる資金 - 取引手数料(株の売買自体の手数料):無料
ゼロコースでRクロスとSOR利用 - 貸株料:年率 3.9% or 1.1%
年率 3.9%は一般信用(短期)の場合、 1.1%は一般信用(無期限)の場合 - 逆日歩:制度信用取引の場合に発生する場合あり
高騰する可能性があるので制度信用取引は基本的に使わず一般信用取引を使う - 事務管理費:1か月 × 110円~
信用取引の新規建約定日から1か月ごとに発生(1か月未満で決済すれば不要) - その他諸費用:細かいので後述
基本的にかからないけど要把握

ほとんどの方がゼロコースかと思いますので(確認方法の説明はこちら)、取引手数料は無料になります。

次に、必須のコストとして、貸株料がかかります。
2種類の信用取引のうち、一般信用であれば所定の貸株料の範囲内で済むのですが、制度信用はさらに逆日歩(ぎゃくひぶ、または品貸料(しながしりょう))というコストが発生、高騰する可能性もあるので、基本的に一般信用で取引可能な銘柄のみを選ぶのが良いでしょう。
また、信用取引の新規建約定日から1か月経過するごとに事務管理費がかかります。1か月未満で決済すれば不要なのですが、あまり権利付最終日の直前ギリギリになると貸株の在庫が無くなって信用売りの注文ができなくなることも。
らくらく優待取引の注文時には、以下のように概算費用が表示されます。

以下は上記と別の銘柄ですが、概算費用のところを選択すると内訳が表示されます。下記は貸株料のみです。概算なので最終確定ではないものの、基本的にこのコストで済みます。

らくらく優待取引のための準備と手順
らくらく優待取引を行うためのステップは以下です。
らくらく優待取引を行うためには、以下のステップが必要です。

- 信用取引口座の開設
口座開設には通常1~2営業日必要 - 入金・保証金振替(の設定)
楽天銀行マネーブリッジ(自動スイープ)を設定済みなら、楽天銀行の口座に資金があればOK - あとは銘柄を探して注文
上記の各ステップについては、以下のページから確認できます。
注文手順は、以下にて確認できます。
らくらく優待取引の対象銘柄の検索
らくらく優待取引の銘柄検索ページから対象銘柄を探すことができます。
前述のとおり、継続保有が条件になっている銘柄は、らくらく優待取引だけでは株主優待の権利を獲得することはできません。
らくらく優待取引の対象銘柄であっても株主優待の条件をしっかりと確認し(特に継続保有の条件)、らくらく優待取引を使用するだけで優待権利を獲得できる銘柄かどうかを見分ける必要性があります。

らくらく優待取引の銘柄は以下のように検索できます。

あとは、人気の優待銘柄の紹介などのコーナーやランキングもあります。


らくらく優待取引の詳細
その他の詳細な点についてです。取引リスクに関わる内容もあるので適宜チェックしておきましょう。
公式の解説動画等
楽天証券の公式Youtubeチャンネルに、らくらく優待取引の解説動画があります。
以下は、らくらく優待取引でなく、従来の(手作業での)つなぎ売りについての解説動画です。
以下は、同じく従来の(手作業での)つなぎ売りの解説です。
取引コストの詳細
らくらく優待取引のコストについては、以下のページから確認できます。
信用取引の新規売建注文に係る諸費用は以下です。

基本的に、逆日歩の発生しない一般信用取引を選択しておけば想定外のコスト発生は回避できます。
- 貸株料は、前述のとおりかかります。
- 制度信用取引の場合には、逆日歩が発生/高騰する可能性があります。制度信用取引は基本的に使わないようにしましょう。
- 信用取引の新規建約定日から1か月ごとに、事務管理費が発生します。注文時の概算費用として表示されるはずです。
- 配当金の権利日を超える場合には、配当金相当額がコストとして発生します。
信用取引の基本ルール
らくらく優待取引では自動的に注文してくれますが、信用取引には色々とルールがあります。
信用取引口座の自動振替
マネーブリッジと信用取引口座の自動振替の詳細については以下で確認できます。
感想
らくらく優待取引は、注意点はあるものの便利そうなサービスですね。私がメインで使用しているSBI証券にも頑張ってほしいです。
本記事のタイトルにも書いたのですが、まさに株主優待チートツールという感じがします。
ふと思ったのは、長期保有ではない株主優待目的の取引を簡単にするツールをリリースした格好になっているので、企業から嫌がられないのかなぁということです。
ポイ活で利用される一般のキャンペーンであれば、最近では「ポイント目的のご利用は対象外」という条件も見かけるくらいなのに(過度なポイ活対策として)。
例えば、楽天グループ(自社)の株主優待の楽天モバイルSIMのためにこのツール使われまくったらどうするんだろう(でも回線数増にはなるか)…とか、他の長期保有の株主からしたら…とか。

今後、(らくらく優待取引というサービスが無かったとしても)株主優待の権利を獲得するためには一定期間の保有を必要とする企業がさらに増えるなど、条件が厳しくなっていくかもしれませんね。ある種の洗練化というか。最終的に、企業が株主を大切にするということは、株主が企業を大切にするということにもつながると思います。たぶん。
なお、人気の優待銘柄は貸株の在庫がすぐに無くなると思うので、タイミングよく注文しないといけませんね。
まとめ
楽天証券から1回の注文で優待クロス取引的な3つの注文をまとめて発注してくれるらくらく優待取引というサービスについてでした。
以下の記事では、楽天証券でのお得な投資の始め方についてもまとめてあります。












