次世代AIデバイス、Copilot+ PCの初期ラインナップ勢をざっくり比較
忘れっぽい人の “あれ何だったっけ?” を解決してくれる予感しかしない Recall が気になって、その必須要件であるCopilot+ PCの要件を満たす製品について調べてみました。
本記事では、MicrosoftによるCopilot+ PC発表直後の初期ラインナップ勢のスペックをざっくり比較してみます。
Copilot+ PC と Recall
Copilot+ PCは、Microsoft Buildの前に発表されたPCの新カテゴリーです。
クラウド上でなく、PC上のNPUによりAIモデルをローカル実行できます (オンデバイス)。
また、Recallは、Copilot+ PCの発表とセットで紹介された新しいAI機能です。本記事の作成時点ではpreview status (What is Recall?内の記載) のようですが。
Recall を使用すると、簡単なキーワード (音声入力も可) で、PCに保存されたPC使用履歴の中から、関連するコンテンツを見つけてくれます。
以下のデモでは、“紫で書き込みをしたチャート” という曖昧な条件を使ってRecallで検索し、無事該当のPowerPoint資料を発見しています。
MicrosoftによるCopilot+ PC発表と、Recallの概要に関するメモは、以下の記事にまとめてあります。
ハードウェア要件
MicrosoftのWebサイト内で表記が統一されていない気がするのですが、以下が次世代AIデバイスのハードウェア要件として公開されており、これがCopilot+ PCのハードウェア要件に該当するはずです。
- 40TOPS以上のNPUを搭載したプロセッサもしくはSoC
本記事作成時点で、Snapdragon X Elite、Snapdragon X Plusのみ
- 16GB以上のメモリ
DDR5/LPDDR5
- 256GB以上のストレージデバイス
SSD/UFS
Windows11のシステム要件に加え、上記の要件を満たす必要性があります。NPUがメインですね。
英語ページと日本語ページへのリンクを載せておきます。
なお現状、Copilot+ PCの要件を満たすプロセッサは QualcommのSnapdragon Xシリーズのみです。Intelの存在感が薄れる印象を否めません…。
(参考) Snapdragon X Elite/Plus のSKU
Snapdragon Xの各モデル (SKU) とスペックの表も載せておきます。
Copilot+ PCのスペック比較
続いて、Copilot+ PCの初期ラインナップ勢のスペックを比較していきます。どれも6月に発売開始です。
比較対象は、大手OEMメーカーのモバイルノートPCです。全オプションを網羅している訳ではありません。
比較表
まずは比較表から (2024年5月に確認)。
定価 [円(税込)] | CPU (※1) | メモリ [GB] | SSD [B] | ディスプレイ [インチ] [解像度](※3) [Hz] [種別] | USB-C (4) | USB-A (3.1~) | バッテリ [Wh] | 重量 [kg] | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Microsoft Surface Laptop (第 7 世代) | 240,680 | P | X1P-64-100 | 16 | 512G | 13.8 | 2.3K | 120 | タッチ | 2 | 1 | 54 | 1.34 |
378,180 | E | X1E-80-100 | 32 | 1T | 13.8 | 2.3K | 120 | タッチ | 2 | 1 | 54 | 1.34 | |
400,180 | E | X1E-80-100 | 32 | 1T | 15 | 2.4K | 120 | タッチ | 2 | 1 | 66 | 1.66 | |
Microsoft Surface Pro (第 11 世代) (※4) | 207,680 | P | X1P-64-100 | 16 | 256G | 13 | 2.8K | 120 | タッチ | 2 | 0 | 48 | 0.895 (※4) |
394,680 | E | X1E-80-100 | 32 | 1T | 13 | 2.8K | 120 | タッチ 有機EL | 2 | 0 | 53 | 0.895 (※4) | |
Dell Inspiron 14 Plus | 179,800 | P | X1P-64-100 | 16 | 512G | 14 | 2.5K | 60 | タッチ | 2 | 1 | 54 | 1.44 |
Dell XPS 13 | 249,980 | E | X1E-80-100 | 16 | 512G | 13.4 | FHD | 120 | 非タッチ | 2 | 0 | 55 | 1.17 |
Acer Swift 14 AI | [参考] $1,099~ (※2) | E | X1E-78-100 (※2) | ~32 | ~1T | 14.5 | 2.5K | 120 | タッチ (オプション) | 2 | 2 | 75 | 1.36 |
ASUS Vivobook S 15 (S5507) | 249,800 | E | X1E-78-100 | 32 | 1T | 15.6 | 2.8K | 120 | 非タッチ 有機EL | 2 | 2 | 70 (※5) | 1.42 |
HP OmniBook X AI PC | 224,730 | E | X1E-78-100 | 16 | 1T | 14 | 2.2K | ? | タッチ IPS | 2 (※6) | 1 | ? | 1.34 |
Lenovo Yoga Slim 7x Gen 9 | 249,700 | E | X1E-78-100 | 32 | 1T | 24.5 | 2.9K | 90 | タッチ 有機EL | 3 | 0 | 70 | 1.28 |
Samsung Galaxy Book4 Edge (14-inch) | [参考] $1,350~ | E | X1E-80-100~ | 16 | ~1T | 14 | 2.8K | 120 | タッチ 有機EL(AMOLED) | 2 | 0 | 55.9 | 1.16 |
(※1) E:Snapdragon X Elite (SKUは前述の4つ)、P:Snapdragon X Plus (SKUはX1P-64-100の1つだけ)
(※2) Snapdragon X Plusも選択可の機種なので、記載の参考価格はおそらくSnapdragon X Plusの場合のもの
(※3) メーカーが3Kと表記していても、3,000ドットに満たないものは実際の数値に合わせて2.8Kや2.9K等と表記 (2,496は2.5Kにした)
(※4) Surface Proはキーボード別売り(商品画像が英語配列でも日本語配列版のはず、詳細は商品説明のご確認を。またMicrosoft Surface Pro (第 11 世代)と旧世代のキーボードとの互換性については、Surface pro8までのキーボードは利用不可、Surface pro9用のキーボードは利用可とのこと)
(※5) 公式サイトに記載が見当たらず、Amazon商品ページの記載より
(※6) USB4以上である旨の記載は見当たらず
スペースの都合上、ところどころ省略気味に記載しています。ディスプレイの [Hz] はリフレッシュレート、USB-CはType-C (USB4対応)、USB-AはType-A (USB3.1以上)を指します。また、色域やHDMIポートの有無までは書ききれませんでした。
ざっくり感想
Surface Laptop (の高い方) が、Snapdragon X Eliteの最上位のSKU(1E-00-1DE)を搭載しています (Microsoftのサイトに情報が見当たらなかったのでサポートに確認済み)いることをMicrosoftに確認済みだったのですが(念押しで2度聞きもしたのですが)、同じくMicrosoftから訂正があり、実際にはX1E-80-100でした(マジか)。各メーカーを横断的に見渡した中でも、フラッグシップ感あります。他より高いですし。と言うかSurface の商品ページでSKUをアピールしていないのが不思議。
一方、Surface ProのSnapdragon X Eliteはも、最上位SKUでなくX1E-80-100である点には要注意です (同じくMicrosoftのサポートに確認済み)。あとキーボードが別売りなので、Surface Proが最もコストがかかりますね…カッコ良いですが。
コスパの面では、Dellはバランス良さそうです。あと、Acer、Samsung は日本向けの販売予定や価格が分かりませんが、実売20万円付近なら注目でしょうか。
個人的には、メモリ32GB、SSD 1TBを確保できる、Surface Laptop、Acer Swift 14 AI、ASUS Vivobook S 15、Lenovo Yoga Slim 7x Gen 9あたりが気になります。特に、ASUSは実売価格が既にちょっと安いので、15.6インチでもOKなら対スペックのコスト面でアリな気がします。Lenovoもイイ感じですが、USB Type-Aポートが無くType-Cのみ3ポートという点に注意です。
という感じで、プロセッサとメモリ、ストレージ等のコアなスペックで選ぶか、ディスプレイやポート、バッテリ容量等も含めて選ぶか、全体的なコスパで選ぶか、等々、色々ですね。
もし私が、Copilot+ PCをどれでも1つ選んで良いと言われたら (あくまで仮定)、やはりMicrosoft純正のSurface Laptopで、13.8インチの最上位モデルが一番欲しいです。Surface Proでも良いですが。…結局、Surface LaptopがSnapdragonの最上位SKUを搭載していなかったので、Lenovoあたりかな…。
各機種の画像や商品リンク
Copilot+ PCの初期ラインナップ勢の画像や商品リンクです。ところどころ補足や感想が入ります。
画像をクリックすると商品ページを開けます。
Microsoft Surface Laptop (第 7 世代)
Microsoft Surface Pro (第 11 世代)
キーボードと専用ペンは別売りです(商品画像が英語配列でも日本語配列版のはず、詳細は商品説明のご確認を。またMicrosoft Surface Pro (第 11 世代)と旧世代のキーボードとの互換性については、Surface pro8までのキーボードは利用不可、Surface pro9用のキーボードは利用可とのこと)。
Dell Inspiron 14 Plus
【Dell】New Inspiron 14 Plus ノートパソコン sin7441200101monojpDell公式サイトに比較ページもあります。
Dell XPS 13
【Dell】New XPS 13 ノートパソコン sxn9345110001monojpAcer Swift 14 AI
Acer Swift 14 AIは、日本国内での販売情報が見当たりませんでした。
ASUS Vivobook S 15 (S5507)
ASUS Vivobook S 15 5507QA Copilot+ PC (S5507QA-HA321W)既にAmazonでちょっと安くなってます。
HP OmniBook X AI PC
スペックシートを見たい場合は、商品ページから辿れます (PDFへの直接リンクは古くなるといけないので控えておきます)。
Lenovo Yoga Slim 7x Gen 9
Lenovo Yoga Slim 7x Gen 9
スペックシートを見たい場合は、商品ページから辿れます (PDFへの直接リンクは古くなるといけないので控えておきます)。
Samsung Galaxy Book4 Edge (14-inch)
Samsung Galaxy Book4 Edgeは、日本国内での販売情報が見当たりませんでした。
まとめ
本記事では、MicrosoftによるCopilot+ PC発表後、初期ラインナップ勢のスペックをざっくり比較してみました。