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Googleアドセンスによる広告はステマ規制的にどうなのか

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本記事では、2023年10月1日に施行されるステマ規制に関し、Googleアドセンスによる広告は景品表示法における事業者の表示なのか、そうであれば対応が必要なのかについて、個人的に考えてみた経過をまとめます。

TL;DR

今のところWebサイト側でGoogleアドセンスによる広告について明記する必要性は無いと思う (ただ広告表記しても良いし、した方が無難)


出典:景品表示法 | 消費者庁

注意

本記事の内容は個人的な調査結果や経験に基づいたものです。
正確な情報や最新の情報については、当該組織の公式Webサイト等をご確認ください。

更新履歴

[2023年10月29日] マウスカーソルを使って “Ads by Google” を表示させる方法は、クリックでなくマウスカーソルを合わせる操作 (マウスオーバー) だった点を修正。

目次

ステマ規制

2023年10月1日より、ステマとみなされる表示が景品表示法の規制対象となります。

(通称:ステマ規制)

概要については、以下の記事にまとめてあります。

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(おさらい) 事業者の表示とは


出典:景品表示法とステルスマーケティング~事例で分かるステルスマーケティング告示ガイドブック

“事業者の表示”とは、”広告” のことです。
(事業者の表示=顧客を誘引するための手段として、事業者が自己の供給する商品・サービスの品質、規格、その他の内容や価格等の取引条件について行う表示)

事業者の表示と判断されるかどうかの大きなポイントは、事業者が、その表示の内容の決定に関与したか(※)という点にありそうです。

(※) コントロール (指示や依頼を含む) の有無以外に、直接的でなくても対価の有無や関係性等から、事業者の表示となる場合もあります。

逆に、客観的な状況に基づき、第三者の表示内容について、第三者の自主的な意思による表示内容と認められるものであれば、事業者の表示とはなりません (例:対価を受け取らず、また従業員や関係会社でもなく、純粋な個人の感想としてディズニーランド最高!と投稿した場合等)。

Googleアドセンスによる広告は事業者の表示?

普通のアフィリエイト広告は景品表示法における事業者の表示に該当することは分かっているのですが、Googleアドセンスによる広告がどのように分類されるのかが不明でした。

Googleから何も案内は無い

Googleアドセンスに関し、本記事作成時点ではGoogleから当サイト (パブリッシャー) に対し、ステマ規制に関連する案内は特にありません。

Googleとしては、対処不要 (パブリッシャーへの案内は不要) と判断しているのかと思います。

私がそう思う理由として、以下のように推察しています。

  • 日本より海外の方がステマに対する規制は厳しいはずなので、米国企業のGoogleがそのあたりのノウハウや判断力に乏しいといったことはない (対応漏れや誤判断の可能性は低い)
  • Googleの規約やポリシーはグローバルに統一されたものなので、日本固有の事情に対して個別対応はしない
  • (※)Googleは、Googleアドセンスの規約やポリシーが従来のままで問題ないと判断している (ただし、広告であることの明記くらいは変更するかもしれない)

(※)この点については、以下に記載していきます。

Googleアドセンスの規約やポリシーは従来のままで問題なさそう

私の推察では、ステマ規制の施行に際し、Googleは、Googleアドセンスの規約やポリシーが従来のままで問題ないと判断している感があるので、その詳細を記載していきます (個人的な考えなので間違っている点はあると思います)。

基準に照らすと、事業者の表示ではあるはず

前述の消費者庁が公開するガイドブックによると、”事業者がその表示内容の決定に関与したと認められる場合” には、その表示は事業者の表示であると判断されます。

ここで、広告主が事業者に該当し、Googleは広告代理店のような立ち位置になると思います。
(当サイトのようなWebサイト (ブログ) の運営者は、表示媒体 (Googleアドセンスのポリシー等では”パブリッシャー”))

広告主は、自らの広告をGoogleのサービスを通じて掲載する訳なので、表示内容の決定に関与していると言えるでしょう。

この点から、Googleアドセンスによる広告は、事業者の表示に該当すると私は思っています。

では、事業者の表示であることの明記はどのように?

事業者の表示に該当するのであれば、事業者の表示であることが分かるようになっていないとステマ規制の対象となります。このあたりはどうでしょう。

Googleアドセンスによる広告には、広告の右上にのボタンが配置されています。

にマウスカーソルを合わせる(or タップ) すると、以下のように “Ads by Google” と表示されるので、ここで広告であることが分かります。


ただ、これではマウスカーソルを合わせないと (or タップしないと) 広告であることが明確には分からないので、仮にこの広告が事業者の表示に該当した場合、これがステマ規制における不当表示に当たらないのか、という点はグレーゾーンになりそうです。

グレーゾーンというのは、ステマ感があるかどうかが微妙、という意味です。

第三者配信については省略

Googleアドセンスでは、Google 認定の広告ネットワークによる広告が表示される場合もあります。

その場合、”Ads by Google” でなく、その広告ネットワークが用意した相応のものが表示されます。

それらの広告も、基本的な形式は “Ads by Google” のものと似たようなものなので、本記事では省略します。

Webサイト側で説明は不要?

グレーゾーンなら、Webサイト側でフォローしないといけないのでは?と気になったりします (これはステレオタイプ的には日本人的な思考なのかも)。

一般のアフィリエイト広告の場合、2023年10月1日のステマ規制の施行に合わせて各ASPが規約を改定し、アフィリエイターに対して、各自のコンテンツに広告を含むことの明記や、リンク等が広告であることの明記を求めています。

Googleアドセンスの場合、Webサイト (パブリッシャー) 側に対して、そのような案内が今のところ一切ありません。

そこで、Googleアドセンスのポリシーやシステムの面から、案内の必要性があるのか考えてみます。

もともと広告クリック誘導禁止のポリシーがあり、景品表示法に沿っている

Googleアドセンスでは、広告のクリック (タップ) を誘導する行為が禁止されています。

リワード広告枠を除き、パブリッシャー様がご自身の広告をクリックしたり表示したりするようユーザーに促すこと、およびクリック数や表示数を増やすために不正な方法を使うことは禁止されています。

出典:AdSense プログラム ポリシー – Google AdSense ヘルプ

一方で、景品表示法における表示規制の主旨は、”一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害” しないようにすることだと、私は認識しています。

上記のように広告クリック誘導を禁止するポリシーは、この主旨を十分に包括しているようにも解釈できます。

すなわち、Webサイトの管理者は表示される広告の商品やサービスをオススメすることすらできない (“見てください”的な表示すら禁止されている) ので、消費者の行動に干渉できません。

つまり、WebサイトがGoogleアドセンスの広告を通じて “一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害” することを自ずと防ぐ仕組みになっている訳です。

Googleアドセンスは、クリックにより報酬が発生し得る仕組みということもあり、もともとそのようなポリシーになっているのだと思います。

(2024年2月追記) ステマ規制とは直接関係ありませんが、広告のクリックに関する関連情報として、2023年11月に、Google アドセンスがインプレッション型の報酬体系となる (クリック型の報酬体系はなくなる) というアナウンスがありました。その後実際に、2024年2月初旬の時点で、クリック単価による報酬は発生しなくなり、インプレッションに基づく報酬 (CPM) のみが発生するようになっているようです。

Google
Updates to how publishers monetize with AdSense AdSense is updating its revenue share-structure and moving to per-impression payments for publishers.
システム的に個別の商品やサービスの紹介、オススメもできない

また、Googleアドセンスにより配信される広告はGoogle側のシステムによって自動的に選択、決定されるため、Webサイトの管理者は表示される広告が何の商品、サービスのものであるかを事前に特定することができません (Googleアドセンスのブロック設定や、Webサイト自体のカテゴリが広告を決定するアルゴリズムにおいて考慮されるといった影響くらいはありますが特定は難しいです)。

ということで、Webサイトの管理者が、Googleアドセンスによる広告に掲載される個別の商品やサービスをオススメすることは不可能なので、消費者の行動に干渉できません (さらに前述のとおりクリック誘導は禁止)。

やはりここでも、WebサイトがGoogleアドセンスの広告を通じて “一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害” することを防ぐ仕組みになっています。

Googleアドセンスの場合、案内は不要だったのだと思う

上記より、Googleアドセンスの場合は、Webサイト (パブリッシャー) 側に対して個別の案内は不要だったのだと思います。

事業者とWebサイトの関係性は、”対価”くらい

その他、Googleアドセンスにおいては、事業者 (広告主) と表示媒体 (Webサイト) の関係性は、Googleを通じて広告のクリックや表示に対する対価が支払われるという点です。

この点は、Googleアドセンスの広告が事業者の表示に該当するという根拠を補強するものです。

なので、Googleアドセンスの規約やポリシーの変更は不要そう

以上の点から、Googleとしては、Googleアドセンスの規約やポリシーが従来のままで問題ないと判断している感があると、私は思いました。

もしかすると、”Ads by Google” 相当の表示についてはマウスオーバー (or タップ) しなくても明記されるように変更されるかもしれませんが、Webサイト (パブリッシャー) 側で対応が必要なものではありません (変更されるとしても、Googleから配信される広告枠内の修正なので)。


ただWebサイト側で自主的に広告表記しても良い、むしろ無難

ただもちろん、Googleアドセンスの規約やポリシーに変更が無くても、Webサイト側で自主的にGoogleアドセンスによる広告についての表記をしても良いです。

Googleアドセンス以外に他のASP等を利用しているケースも多いでしょうし、まとめて一律で広告表記するのであれば、かかる手間や表記に必要なスペースに大差はありません。

ASP等ごとに個別対応するよりは、どのASP等に対してもWebサイトとして一貫したポリシーに沿って対応した方が、ステマ規制に対するスタンスを明確化することができ、プレゼンスの面でも良いかと思います。

ということで、Webサイト側で自主的に広告表記をすること自体は、無難な対応だと思います。

結論:消費者庁とGoogle次第

本記事の作成時点で、私なりに考えた結果は以下です。

  • Googleアドセンスによる広告は事業者の表示に該当する
  • Googleは、パブリッシャー (Webサイト) に対して個別の案内はしない
  • Googleは、日本のステマ規制の施行に合わせてGoogleアドセンスの規約やポリシーの改定はしない
  • Googleは、”Ads by Google” 相当の表示をマウスオーバー (or タップ) しなくても明記されるよう変更するかもしれない (例:消費者庁に何か言われたら)
  • 従来からGoogleアドセンスでは、Webサイト側が広告自体に深く関与せず、Googleが表示内容をコントロールできるモデルとなるように規約やポリシーで配慮されている

ということで、何かあればGoogle側で適宜対応するだろう、という結論に至りました (こんなに考えなくても、そりゃそうだろうという感じですが…)。

Webサイト側の対応:今のところWebサイト側で明記する必要性は無いが、した方が無難

上記より、Webサイト側 (ブログ) では、各自のコンテンツにGoogleアドセンスによる広告を含むことの明記や、リンク等がGoogleアドセンスによる広告であることの明記をする必要性は、現時点では無いと考えています。

もちろん必要性が無くても、前述のとおり、Webサイト側で自主的にGoogleアドセンスによる広告について表記しても良いですし、むしろ無難だと思います。

消費者庁に聞いてみた

できるだけ正確に整理できるよう、消費者庁に問い合わせもしてみました。

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(参考) コミュニティの回答

Google AdSense のヘルプ コミュニティにおいては、以下のような回答がありました (Googleの正式回答ではありません)。

まとめ

本記事では、2023年10月1日に施行される通称ステマ規制に関し、Googleアドセンスによる広告は景品表示法における事業者の表示なのかを個人的に考えてみた経過をまとめてみました。

あくまで記事作成時点での個人的な考えなので、判断は各自でお願いします。

当サイトでは、ステマ規制の施行を機に、広告掲載ポリシーもまとめておくことにしました。

以下、関連記事です。

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