【12月31日まで】ふるさと納税はお済みですか?

オルカン(ACWI)の銘柄入替の判定日 ―GIMI の Price Cutoff Date―

当サイトには広告を含みます。

当サイトでは、広告掲載ポリシーに沿って広告を掲載しています。
※広告でなく、単に商品やサービスを自主的に紹介しているだけという場合もあります。

"オススメ" として紹介している商品やサービスは、個人的にそう思えたものだけです。

共感、興味をもっていただけるものがあればご利用ください。

ふるさと納税の期限間近

人気の投資信託、オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー))のベンチマーク指標であるMSCI社のACWIにおける2024年8月の銘柄入替が発表された際、日経新聞の記事の中に銘柄選定の判定日が7月18日であった旨の説明を見つけました。

銘柄入替が実施される8月30日に対し、その1か月以上前の日をベースに選定されているということで、けっこう期間が空くものなんだなぁと気になって、そのあたりを素人なりに少し調べてみた結果をまとめておきます。勉強メモです。

なお、本記事の内容は、長期投資(投資信託の積立含む)においては、あまり気にすることではない(気にしてもあまり意味はない)内容だとは思います。ただ、知っておくと多少スッキリするかもしれません。

本記事の内容は、個人的な調査結果や経験、推測、感想に基づいています。
正確かどうか、最新かどうかについては適切な情報をご確認ください。

目次

2024年8月のACWIの銘柄入替に関するニュース

ACWIを含む、MSCI社が算出する株価指数について、2024年8月30日(8月末、最後の営業日)に実施される入替の対象となる銘柄が2024年8月12日(米国時間)に発表されました。ACWIは、人気の投資信託であるオルカン(eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー))のベンチマークとして使用されている指数です。

ニュース記事は以下です。

日経新聞の会員限定記事は、楽天証券の口座があれば無料で閲覧できます

銘柄選定の判定日は入替実施より1か月以上前の7月18日だった?

日経新聞の記事には、”銘柄選定の判定日は7月18日” と説明があります。

出典:acwi 入替 7月 – Google 検索
※記事全文は会員限定記事をご覧ください

銘柄入替(売買)が実施される8月30日に対し、判定日はその1か月以上前になっているということで、けっこう期間が空くものなんだなぁと感じました。

“最新の市場動向を反映できない気がするけど、そんなものなの?” と思った次第です。

そこで、この判定日が、どんな風に決まっているのかを調べてみました。

Quarterly index review による銘柄入替

MSCI社が算出する株価指数では、MSCI Global Investable Market Indexes Methodology (GIMI Methodology) という方法論に沿って四半期ごとに銘柄入替を含むレビュー(Quarterly index review)が行われています。雑な理解としては、このような定期レビューの際に色々な難しい計算が行われた結果、銘柄入替の対象が決定され、指数に反映されるということですね。

例えば、今回の2024年8月の場合、日本株では以下の銘柄が入替対象になりました。

出典:MSCI Global Standard Indexes List of Additions/Deletions
(August 2024 Index Review)

銘柄名がアルファベットで読みづらいですが、追加はKOKUSAI ELECTRIC(コクサイE)の1銘柄、除外は近鉄グループホールディングス、小糸製作所、NIPPON EXPRESSホールディングス、日産化学、野村不動産マスターファンド投資法人、ヤマトホールディングスの6銘柄です。

プレスリリースにはMSCI ACWIの追加と除外の合計数が記載されています。

出典:MSCI Equity Indexes August 2024 Index Review(PRESS RELEASE)

このような四半期レビューの実施タイミングは、2月、5月、8月、11月です。

レビューの結果は以下のページで公開されています。

また、レビューの詳細については、Index MethodologyにあるMSCI Global Investable Market Indexes Methodologyの資料で確認できます。

現在のレビューのサイクルは、Quarterly Comprehensive Index Review (QCIR) というもので、2023年2月から適用されています。それ以前は、5月と11月のSemi-Annual Index Reviews (SAIRs)、2月と8月のQuarterly Index Reviews (QIRs) で、2種類のレビューが交互に行われていました。この変更については、Index MethodologyにあるMSCI Global Investable Market Indexes Methodologyの、Appendix XIX: Transition to a Quarterly Comprehensive Index Reviewで確認できます(Aug 2024時点)。

Price Cutoff Date はレビュー前月末10営業日のいずれか

レビューに使用される時価総額等が、いつ時点のものであるか(Price Cutoff Date)については、レビュー前月末10営業日のいずれかであると説明されています。

つまり、レビューが実施される2月、5月、8月、11月それぞれの前月である1月、4月、7月、10月の月末までの10営業日のいずれかが、Price Cutoff Dateになり得るようです。

Price Cutoff Date: any one of the last 10 business days of January for the February Index Review, of April for the May Index Review, of July for the August Index Review and of October for the November Index Review. This is the relevant cutoff date for:
– Prices used for calculating market capitalization;
– Data used to update FIFs as per Sub-section 3.1.7: Index Review of changes in Foreign Inclusion Factors (FIFs);
– Data used to incorporate all foreign room changes.
– Data used to update NOS as per Sub-section 3.1.8: Index Review of changes in Number of Shares (NOS).

出典:MSCI. “3.1.9 Date of Data Used for Index Reviews”. MSCI Global Investable Market Indexes Methodology. Index Methodology.

前述の日経新聞の記事にあった “銘柄選定の判定日は7月18日” という説明については、2024年7月18日が7月最後の10営業日のうち最初の日であることから、少なくともPrice Cutoff Dateの候補日の1つに該当すると思われます (土日を考慮しただけで、business dayの定義に沿った各市場の休場日の確認は未実施ですが、いずれにせよ7月18日は候補日の1つのはず)。ただ、私が確認した限りでは、今回のレビューのPrice Cutoff Dateが7月18日であったという情報は見つけられませんでした。

ちなみに、Price Cutoff Dateの他にも、Equity Universe Cutoff Date や Liquidity Cutoff Date というものもあるようです。

Price Cutoff Date 以降の株価変動は銘柄入替に影響しない

上記のような日程感でレビューが実施されるため、Price Cutoff Date 以降、その翌月末に銘柄入替が実施されるまでの間に生じた株価の変動は基本的に銘柄入替に影響しません

つまり、そのような直近の株価変動が指数の構成銘柄やそれらの構成比率に反映されないという意味です。株価が上昇した銘柄を指数に組み込めず、逆に下落した銘柄を除外できないということになります。

最近の話だと、2024年8月5日に発生した株価下落やその後の変動は、今回の2024年8月の銘柄入替には影響しないことになります。なお、仮に全銘柄の株価の下落やその後の回復の率が一様だとすると、ACWIのような時価総額加重平均の指数においては大して影響は無いと思いますが(仮の話なので浮動株調整後とかは省略)。

出典:【世界の株価】8月5日の終値|テレ東BIZ(テレビ東京ビジネスオンデマンド)

例外として、特定企業に関する重大な出来事(例: 詐欺の疑惑、会計データの改ざん、買収提案のニュースなど)は考慮される場合があります。

また、定期レビューとは関係の無いイベントに基づく都度の変更として、大型のIPOがあると、その企業の10日目の取引終了後に指数に組み入れられるようです(Ongoing event-related changes)

詳細は、Index MethodologyにあるMSCI Global Investable Market Indexes Methodologyの資料で確認できます。Price Cutoff Dateについては”3.1.9 Date of Data Used for Index Reviews”に説明があります。

でも、投資対象になる指数はそういうものっぽい

前述のように、指数の設計上、”最新の市場動向を反映できない場合もある” という点に関しては、指数の継続性(Index continuity)継続的な投資可能性と再現可能性(Continuous investability of constituents and replicability of the indexes)、またインデックスの安定性や低い回転率(Index stability and low index turnover)を実現するために必要な方法を取り入れた結果なのだろうと、(私は)理解しました。

例えば逆に、ある指数が “最新の市場動向を反映することはできるけど、構成銘柄や比率の変更が激しすぎてETFや投資信託の運用担当者、あるいは投資家が誰もそれを再現できない(その指数に連動するような売買ができない)” となると、その指数を投資対象にすることはできないということになります。また、売買回転率が高くなると運用コストも懸念されます。

指数を安定的に利用できることが重要なのでしょう。

(参考) 実際の投資信託、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)では、以下のように投資が行われます。

出典:eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) | eMAXIS(イーマクシス)
交付目論見書 2024年07月25日 より

銘柄入替に伴う株価変動も

また、銘柄入替による影響として、その指数に連動するインデックスファンド(パッシブ運用)の純資産額が大きい場合には、銘柄入替に伴う株価変動も生じるようです(対象銘柄の発表時点でも)

以下のチャートは、2024年8月のACWIの銘柄入替の対象になった日本株銘柄と日経平均の株価です。

銘柄入替の発表があった日、8/13(日本時間)の日本株の値動きとしては、ACWIに追加されたKOKUSAI ELECTRICが大きく上がり(ピンクの線)、一方でACWIから除外された他の銘柄は少し下がっています(日産化学は上がっていますが)。日経平均としては上がっています。もちろん、これらの値動きのすべてが銘柄入替の影響であるかを判断することはできませんが。

なお、仮に銘柄入替の実施日(8月30日)の直前に対象銘柄が発表されていた場合には、株価がより急激に変動していたかもしれません。銘柄入替の実施より相当前に対象銘柄を発表することで、そのような値動きを避ける効果もあるのかと思いました。

以下は8/30のグラフです(水色の縦線が翌営業日の9/2)。この時点で、除外された銘柄はだいたい下がっています。KOKUSAI ELECTRIC含む半導体銘柄も下がるのですが。

まとめ

本記事では、MSCI社のACWIにおける銘柄選定の判定日について調べてみた結果をまとめてみました。

資産運用関連の人気書籍

記事作成、サイト管理
プロフ画像 (暫定版)

happynap
(はっぴぃなっぷ)

3人家族で暮らし
ITっぽい仕事をしつつ
ポイ活、投資を趣味的に
スキマ時間に、ゆるく全力でブログ
のんびり昼寝したい

お得情報

出張先、旅行先のホテル予約はお早めに

よろしければシェアいただけると
目次