Azure ADとMicrosoftアカウントのパスワードレス認証
Azure ADとMicrosoftアカウントは異なるサービスなので、サポートする認証機能も違います。
本記事では、Azure ADとMicrosoftアカウントにおけるパスワードレス認証関連の違いをまとめておきます。
パスワードレス認証
Azure ADとMicrosoftアカウントのどちらも、基本的には同じパスワードレス認証方法をサポートしますが、違いもあります。
Azure ADでのパスワードレス認証
※テナントの管理者が認証方法を設定できるので、環境により使える認証方法は異なります。
Microsoft Security のページに、Azure ADにおけるパスワードレス認証の方法が3つ挙げられています。
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Windows Hello
WindowsデバイスのWindows Hello機能 -
Authenticator (Phone Sign-in)
スマホのAuthenticatorアプリ (電話によるサインイン) -
FIDO2 security key
FIDO2対応のデバイス (USB、BlueTooth、NFC)
learn.microsoft.com のページでは、他にもパスワードレス認証の方法が書かれています。
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Authenticator Lite (後述)
iOS または Android デバイスの Outlook アプリ内の機能 -
証明書ベースの認証 (後述)
クライアント証明書
Authenticator Lite は新機能
米国の2023年5月26日に、Outlookに組み込まれたAuthenticator的な機能である Authenticator Lite がGAリリースされたようです。
iOS または Android デバイスの Outlook アプリの一部として、Authenticator的な機能を使うことができます。
4月にパブリックプレビューとなっていた機能が正式化されたということです。
証明書ベースの認証も新機能
上記の表ではプレビューでしたが、Certificate-Based Authentication (CBA) の方も米国の2023年5月4日にGAとなっていますね。
Azure AD Certificate-Based Authentication (CBA) on Mobile now Generally Available!
We support both on-device certificates and external hardware security keys, like YubiKeys over USB or NFC on iOS and Android devices.
(補足) Azure ADのパスワードレス認証には、認証方法ポリシーの設定が必要
補足として、Azure ADでパスワードレス認証を使用するためには、認証方法ポリシーの設定が必要です。
認証方法ポリシーは、パスワードレス認証のような最新の方法を含む、認証方法を管理するための推奨方法です。
出典:Azure AD の認証方法を管理する
認証方法ポリシーには、FIDO2 セキュリティ キー、一時アクセス パス、Azure AD 証明書ベースの認証など、レガシ ポリシーで使用できないその他の方法があります。
出典:MFA と SSPR のポリシー設定を Azure AD の認証方法ポリシーに移行する方法
Microsoftアカウントでのパスワードレス認証
Microsoftアカウントの場合は、以下3つのパスワードレス認証方法があります。
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Microsoft Authenticator アプリ
Authenticator (Phone Sign-in) -
Windows Hello
WindowsデバイスのWindows Hello機能 -
物理セキュリティ キー ※FIDO2 security keyと同等
FIDO2対応のデバイス (USB、BlueTooth、NFC)
Azure ADと異なり、Authenticator Liteや証明書ベースの認証はありませんが、それ以外は基本的に同じです。
セキュリティキーがFIDO2のことを指している明確な記載が見当たりませんが、FIDO2対応セキュリティキーということで良いと思います (参考:Windows Hello またはセキュリティ キーで Microsoft アカウントにサインインする)。
具体的な設定等については、以下の記事にまとめてあります。
Authenticator アプリを使用した方法は少し操作手順が違う
MicrosoftアカウントでAuthenticatorアプリを使用したパスワードレス認証を行う場合、サインイン画面に表示された番号と同じものを、Authenticatorアプリ上に表示される3つの選択肢の中から選ぶ操作です。
Azure ADの場合の “数値の一致” は、上記のような選択でなく、2桁の数値を手入力するので、少し異なります。
パスワードレスアカウント (パスワード削除)
Azure ADでのパスワードレスアカウント
Azure ADではユーザアカウントのパスワード削除には未対応のようです。どこかに最新情報があるか探しましたが見当たりませんでした。
開発は進めていると思うのですが。
Azure AD アカウントのパスワードをなくすための開発も間もなく開始します。
出典:Microsoft アカウントにおけるパスワード削除機能のご紹介
ただ、規模の大きな企業やその他組織内で完全なパスワードレス認証化にたどり着くまでは、環境整備やITリテラシー教育等、相当な労力が要りそうです。
Microsoftアカウントでのパスワードレスアカウント
Microsoftアカウントでは、パスワードレスアカウント設定が可能です。
以下の記事にまとめてあります。
参考
パスキー対応
機会があれば、パスキー対応についても別記事にまとめてみたいと思います。
現在、Windows Hello を利用することでパスキーをサポートするサイトにサインインが可能です。近い将来、Apple や Google のデバイス上からパスキーを使用して Microsoft アカウントにサインインできるようになります。
出典:FIDO 標準の拡張と Microsoft のパスワードレス ソリューションへの新たなアップデート
試していたところ、サインイン時のUI的には、既にiOSのパスキーでMicrosoftアカウントにサインインできているっぽいのですが(以下の記事の後半)。
まとめ
本記事では、Azure ADとMicrosoftアカウントにおけるパスワードレス認証関連の違いをまとめてみました。
余談ですが、基本的にMicrosoftのサービスの仕様は、用語やそれらの相関関係が分かりづらいです。