【RHEL10 GA】新機能(Lightspeed, Image Mode)、互換OS AlmaLinux 10等

2025年5月20日にRHEL10が発表されました。

メモ程度に確認したことをまとめておきます。

RHEL10 リリース

2025年5月20日にRHEL10が発表されました。

メンテナンスサポート終了まで10年間。

• リリース: 2025年5月20日
• メンテナンスサポート終了: 2035年5月31日

Lightspeed：コマンドライン上のAI機能

コマンドライン上で生成AIを利用できるLightspeedという機能が搭載されました。RHEL9.6でも使えます。RHELのサブスクリプションがあれば使えるようです。

RHEL Lightspeed を搭載したコマンドラインアシスタントを使用すると、自然言語を使用して、コマンドラインから RHEL の管理に関する専門的なアドバイスやサポートを受けることができます。

出典：RHEL Lightspeed を搭載したコマンドラインアシスタントとの対話 | Red Hat Enterprise Linux | 10 | Red Hat Documentation

コマンドラインアシスタント、command-line-assistantというパッケージをインストールし、cという1文字だけでうっかり打ち間違えそうなコマンドにより利用できます。

以下、雑ですがメモです。

• LightspeedはIBMのSaaS上で動作
  • WatsonX AI API LLM (Large Language Model)
  • LLM: IBM WatsonX LLM IBM® Granite™ モデル
• コマンドラインからの入力のみを扱う
  • コマンドラインアシスタントは実行中のシステムに関する情報に直接アクセス不可
  • コマンドラインでファイル添付して実行は可（-aオプション）
  • 標準入力も可 $ cat <log_file.log> | c　または　$ echo "how do I solve this?" | c -a <log_file_error.log>"
  • 以前に実行したコマンドを参照できるオプション機能あり
    • c shell --enable-capture
    • 使用例：コマンドとその出力をLightspeedに渡すことができる（参考）
• KB内容に沿って回答できるらしい（後述）
• コマンドラインアシスタントデーモン (clad) というデーモン
  • ユーザーが履歴データベースにアクセスできるよう、暗号化されていない SQLite データベースをデフォルトで使用
• 送信できる容量は2KB

こんなことも書いてあります。（ログの解析はできるけど）機密情報やシステムデータ情報は入力しないでね、ということです。

• RHEL Lightspeed を搭載したコマンドラインアシスタントを使用すると、LLM プロバイダーと交換するすべてのメッセージを Red Hat が使用する場合があることに同意したことになります。この機能は個人情報を処理することを目的としたものではありません。お客様は、RHEL Lightspeed を搭載したコマンドラインアシスタントを使用すると、コマンドラインアシスタントの使用中に個人情報を含めないことに同意したことになります。AI 機能のサポートは、Red Hat が提供するコンポーネントに対してのみ提供されます。
• 次の種類のデータを入力しないでください。
  • 個人情報
  • ビジネス上の重要な情報
  • 機密情報
  • システムデータ情報

出典：RHEL Lightspeed を搭載したコマンドラインアシスタントとの対話 | Red Hat Enterprise Linux | 10 | Red Hat Documentation

開発環境やテスト環境ならともかく、本番環境のコマンドラインでIBMのAIとやり取りをするというユースケースは想像しづらいですが。

以下はマニュアルページ。

Red HatのInteractive labsという学習環境でLightspeedを利用できます。面白いです。

この環境では、自分の好きな質問を送信したりもできます。

例えば、simple content accessについて質問をした際にKBを含めた（一般的な）回答が得られました。何かエラーメッセージを提示してみたら良かったですね。

root@rhel:~# c "what is simple content access"
⁺₊+ Asking RHEL Lightspeed
This feature uses AI technology. Do not include any personal information or other sensitive information in your input. Interactions may be used to improve Red Hat's products or services.
Simple Content Access (SCA) in Red Hat Satellite simplifies the management of software entitlements. With SCA, you can add valid subscriptions to a subscription allocation or manifest and refresh within Satellite. This means you do not need to attach subscriptions individually to hosts.

SCA replaces the previous entitlement-based method of subscription management. New organizations default to having SCA enabled, and entitlement-based subscription management is deprecated. For more information, you can refer to the [Release notes](https://docs.redhat.com/en/documentation/red_hat_satellite/6.16/html-single/release_notes/index#) and the [Simple Content Access FAQ](https://access.redhat.com/articles/4903191).

To enable and use SCA, you can follow the instructions provided in the [Simple Content Access](https://access.redhat.com/articles/simple-content-access) article.
Always review AI-generated content prior to use.

続いて、Lightspeedの履歴（c history）の内容が同じRHNアカウントを使用した複数のマシンで共有されるのかを聞いてみました。すると、”それはRHELやLightspeedのコマンドじゃない” という斜め上の回答が。あなた自身のことなのに。

root@rhel:~# c "Is the command history of the Command Line Assistant in RHEL Lightspeed, shown by 'c history', shared across multiple servers that use the same RHN account?"
⁺₊+ Asking RHEL Lightspeed
This feature uses AI technology. Do not include any personal information or other sensitive information in your input. Interactions may be used to improve Red Hat's products or services.
The command `c history` is not a standard command in Red Hat Enterprise Linux (RHEL) or RHEL Lightspeed. RHEL Lightspeed is an AI-driven solution that enhances the RHEL experience, but it doesn't introduce new commands like `c history`.
…(以下略)

man cの結果を保存したテキストを添付し、再度同じ質問をしてみます。すると先ほどとは変わってそれなりの回答が得られました。正しいのかどうかは分かりません。

root@rhel:~# c "Is the command history of the Command Line Assistant in RHEL Lightspeed, shown by 'c history', shared across multiple servers that use the same RHN account?" -a man-c.txt
⁺₊+ Asking RHEL Lightspeed
This feature uses AI technology. Do not include any personal information or other sensitive information in your input. Interactions may be used to improve Red Hat's products or services.
The command history of the Command Line Assistant in RHEL Lightspeed, shown by 'c history', is not shared across multiple servers that use the same RHN account. Each user's command history is stored locally on their respective server and is not synchronized across different servers.

To manage and view your command history, you can use the 'c history' command. Here are some examples:
…(以下略)

Image Mode：ブート可能なイメージに変換したコンテナイメージ

RHELのコンテナイメージをブート可能なbootcイメージに変換し、サーバ（ベアメタル、KVMの仮想マシン等）としてデプロイできる機能です。RHEL9.6でも使えます。

従来のdnfでRPMを利用する環境を “パッケージモード” と呼び、それに対しこの新しい環境（デプロイ方法）を “イメージモード” と呼びます。イメージモードではostreeが使用されており基本的にRPMの直接インストールはできず、コンテナレジストリを経由したイメージ更新によりパッケージ管理をすることになります。OCI対応で、podman、ostree(chroot含む)、rpm-ostree、bootc、bootc-image-builderなどが使用されます。イミュータブルな環境構築のニーズに合っていれば良い機能なのかもしれません。

イメージモードについてもRed HatのInteractive labsという学習環境でLightspeedを利用できます。

詳細はRed Hatの方が書かれている記事をご確認ください。

以下はOSTreeの（一般的な）解説スライドです。

以下はマニュアルです。

その他、変更点や新機能など

リリースノートなども必要に応じご確認ください。

以下、雑ですがメモです。

• OSインストール時にAnacondaで作成するユーザはデフォルトで管理者権限ありに（New users created in Anaconda are administrators by default）
• RDP対応（The remote desktop protocol (RDP) for graphical remote access replaces VNC.）
• 耐量子暗号対応（As a Technology Preview, system-wide cryptographic policies (crypto-policies), the OpenSSL, GnuTLS, and NSS toolkits, and the OpenSSH suite now work with post-quantum (PQ) algorithms.）
• RHEL9.6からはインプレースアップグレード可。RHEL8系からは不可（参考）

ネットワークツールまわり。

• Traceroute now defaults to IPv6
• The Kea DHCP server replaces ISC DHCP
• RHEL 10 provides nftables version 1.1.1
• RHEL 10 provides iptables version 1.8.11
• RHEL 10 provides firewalld version 2.3.0

Red Hat AIというページもありました。

RHEL 10 β版の時点のリリースノートにはwgetがdeprecatedになったという記載があったような気がしましたが、GA版では見当たりませんでした。

互換OSの状況は？ AlmaLinux 10 リリース済み

ABI互換のAlmaLinux 10は5月27日にリリースされてました。早いですね。

Rocky Linux 10は、本記事の作成時点ではリリースされていません。どういう状況なのか詳しくは調べていませんが、コミュニティでリリース準備中っぽいやり取りを確認できます。CentOS Stream 10をベースにしているような記載があります（I want to say soon, as we’ve been tracking CentOS Stream 10 (which makes this a whole lot easier for us) since last year. However I cannot provide any soft or hard dates at this time.）。

あと、Oracle Linux 10はDeveloper Preview Releaseのページがありました。

RHEL互換OSのリリース状況も色々ですね。

ちなみに、前述のLightspeedはクラウドを利用した機能なので互換OSでは使えませんね。

6月11日にAlmaLinux 10の日本国内セミナー

AlmaLinuxはサイバートラストとの連携があるおかげか、いちはやくセミナー開催されるようです。

まとめ

RHEL10のメモでした。