【GAAD Japan 2025】アクセシビリティを考える日
世界各地でアクセシビリティを考える一日、GAADについての話題です。
本日開催されたGAAD Japan 2025をちょっと視聴したので、メモ程度ですが本記事にまとめておきます。

GoogleのAIアシスタント、NotebookLMでこの記事のポッドキャスト風の音声概要を作成してみました(2025年5月時点)。記事の内容を聞き流してみたい場合にお試しください。NotebookLMの音声概要についてはこちら。
毎年5月の第3木曜はGAADの日
毎年5月の第3木曜日は、GAAD(Global Accessibility Awareness Day:ギャード)の日。
デジタル分野(Web、ソフトウェア、モバイルなど)のアクセシビリティを考える日として2012年からスタートし、毎年この日は世界各地でさまざまなイベント等が開催されているそうです。

日本ではGAAD Japan 2025が開催されていましたので、本記事でご紹介します。
アクセシビリティって?
アクセシビリティは、誰でもサービスを利用できるようにするための品質基準です。
年齢や性別、国籍、特性の有無、あるいはその時の状況や気分(気分は言い過ぎ?)等に関わらず、必要な情報やサービスにアクセスし、利用できるかどうかという観点で対象のサービスを捉えます。

※これは情報アクセシビリティの説明の図
GAAD Japan 2025の概要
2025年5月15日に、GAAD Japan 2025が開催されました。
YouTubeでのオンラインセミナーで、全国各地のパブリックビューイング会場も開設されていました。全セッションでリアルタイム字幕(UDトーク)や手話通訳が提供されています。
アクセシビリティの意義からUI/UX等のデザイン系の話題、アクセシビリティ関連プロジェクトの事例等、アクセシビリティに関する様々なセッションを視聴できます。専門的な知識が無くても楽しめます。
オンライン参加の申込数は1,020人だったようです。ちなみに申し込まなくてもYouTubeの動画は少なくとも当日は視聴できているようです。
たぶん以下のタイムテーブルを見ると、キーワードから雰囲気を掴みやすいかも。KDDIやデジタル庁の登壇もあります。
時間 | 内容 |
---|---|
9:55〜10:00 | オープニング |
10:00〜10:10 | オープニングセッション UDトークでアクセシブルなイベントを 青木秀仁さん(UDトーク開発者) |
10:10〜10:50 | セッション1 今、アクセシビリティに投資しないと後悔する理由〜データで見る企業のリスクとチャンス maddy/杉吉真奈さん(株式会社グッドパッチ) |
10:50〜11:00 | ライトニングトーク1 受託Web制作会社におけるアクセシビリティの取り組み 山田かおりさん(株式会社ノベルティ) |
11:10〜11:50 | セッション2 色のアクセシビリティ入門〜すべての人に見やすいデザインを 伊賀公一さん(NPO法人カラーユニバーサルデザイン機構) |
11:50〜12:00 | ライトニングトーク2 “誰一人取り残されない”コミュニケーションの実現を目指す「みんなのコミュニケーションデザインガイド」のご紹介 千葉順子さん(株式会社電通デジタル) |
13:00〜13:10 | パブリックビューイング会場から中継! |
13:10〜13:50 | セッション3 KDDIグループ全体でのウェブアクセシビリティの取り組み 吉田智絵子さん(KDDI株式会社)/ 神森勉さん(株式会社KDDIウェブコミュニケーションズ) |
13:50〜14:00 | ライトニングトーク3 ソニーグループが実践するウェブアクセシビリティの取り組み 中翔子さん(ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社) |
14:10〜15:00 | A11yOops Japan アクセシビリティしくじり先輩! |
15:30〜15:40 | パブリックビューイング会場から中継! |
15:40〜16:20 | セッション4 アクセシブルなツールと活用と事例と祭典で得たもの 板垣宏明さん(NPO法人アイ・コラボレーション神戸) |
16:20〜16:30 | ライトニングトーク4 「アクセシビリティテスター」という新しいキャリアについて 山本順子さん(株式会社SmartHR) |
16:40〜17:20 | セッション5 聴覚障害とデザインで社会を再設計する〜当事者とつくる情報インフラの実践 方山れいこさん(株式会社方角) |
17:20〜17:30 | ライトニングトーク5 多様な当事者との共創から考える「予期的アクセシビリティ」の必要性 川合俊輔さん(インクルーシブデザインスタジオ CULUMU CDO) |
17:40〜18:20 | セッション6 デジタル庁デザインシステム〜1億2,500万人を見据えたUI/UX基盤 森田雄さん(デジタル庁)/ 平瀬亜由美さん(デジタル庁) |
18:20〜18:30 | エンディング |
こんな話が
私もいくつかのセッションを視聴しました。
気になった話題をいくつか挙げておきます。
CUD赤
例えば、色(色覚特性)の話として「色のアクセシビリティ入門〜すべての人に見やすいデザインを」や「デジタル庁デザインシステム〜1億2,500万人を見据えたUI/UX基盤」では、強調したい内容に対し、単純な赤(#ff0000)でなくCUD赤(デジタル庁では#ff5500)を使うという事例がありました。
単純な赤の場合、P型色覚やD型色覚の特性がある場合に色が暗くなり目立ちにくくなってしまうため、少しオレンジに近いCUD赤を採用するといった方法です。

デジタル庁のセッション(CUD赤の採用:「赤として強く見せる」ための赤でなく、「黒とは明確に異なる色」としての赤) ※この動画は5/15当日のみ公開されており、その後非公開になりました
なお、この色はテキストに使用すると採用したい基準(WCAG等)によっては必要なコントラストを確保できないため、枠にだけ利用する等の対策も挙げられています。

関連資料は以下。

みんなのコミュニケーションデザインガイド
電通の資料「みんなのコミュニケーションデザインガイド」の話がありました。

とても分かりやすい資料です。

予期的アクセシビリティ(予期的UX)
個人的に、なるほどと思った言葉。『多様な当事者との共創から考える「予期的アクセシビリティ」の必要性』にて。
サービスを利用している最中のUXやアクセシビリティが十分であっても、ユーザがそのサービスを実際に利用することを決心して行動に移せるかどうかについては別途心理的あるいは物理的なバリアがあるという話(例:窓口等で手話対応してもらえるか分からなくて声をかけられなかった、等)。”安心して利用できそうだから使ってみよう” と思えるような周知ができていれば、「予期的アクセシビリティ」を十分に確保できていると言えます。
この「予期的アクセシビリティ」、支援を受けるような場面に限らず、”なんか面倒そう” などと感じてせっかくのチャレンジや体験をする機会を見送ってしまうようなあるあるケース(そういうのも個人の特性かも)を体系的に考えるのに便利な言葉だなぁと思いました。
関連リンク


「やさしい日本語」というのもあります。
まとめ
世界各地でアクセシビリティを考える一日、GAADについての話題でした。
興味がありましたら動画が公開されているうちにご視聴を。
ちなみに当サイトのアクセシビリティはなかなか配慮できておらず恐縮です…意識したいのですが。AIでなんとかなる日も近いとかないですかね。
そう言えば、当サイトではポイ活の話題を多く掲載していますが、ポイ活という行動にもアクセシビリティの概念はありそうですね。誰でも分かりやすく取り組めるポイ活も楽しい一方で、あまり大衆化しすぎたものは経済的利益が薄まってしまうというトレードオフもありますが。