暗号資産レンディングサービスを金商法の規制対象とする検討(金融審議会)
金融庁の金融審議会において、暗号資産の借り入れを伴うステーキングや再貸し付けの事業(レンディングサービス等)が金商法の規制対象になる方向であるという投稿をお見かけしました。
私は先日、BitLendingというレンディングサービスのポイントサイト案件に取り組んで無事完了したのですが、実際になかなかリスクが高そうに感じて規制動向についても気になっていたので、本記事でメモをまとめておきます。
暗号資産レンディングサービスを金商法の規制対象とする検討(金融審議会)
金融審議会「暗号資産制度に関するワーキング・グループ」の2025年11月7日の開催分の議題のうち、業規制に関する部分において、暗号資産のレンディングサービスに相当する暗号資産の借り入れを伴うステーキングや再貸し付けといった事業を金商法の規制対象とすることについての言及があったようです。資料に記載があります。


投資性があることから、金商法の規制対象にしてはどうかという内容です。
暗号資産レンディングサービスへの影響
金融審議会における暗号資産関連の議題の1つとして、上記のようにレンディングサービスについて議論があったということで、いずれ規制の対象になるのかと思います。
BitLendingの公式Xアカウントは、現時点でBitLendingに直接的な影響は無いことと、制度変更があれば適切に対応する旨のコメントを発信しています。
【BitLendingからのお知らせ】
— BitLending(ビットレンディング) (@Bit_Lending) November 7, 2025
本日開催された金融審議会「暗号資産制度に関するワーキング・グループ」第5回会合において、暗号資産レンディング事業に関する規制のあり方が議論されました。
現在はまだ検討段階であり、現時点でBitLendingに直接的な影響はございません。…
BitLendingを運営するJ-CAMは、大手企業も会員になっている日本暗号資産ビジネス協会の会員ではありますし、当初からこういった規制の動向は想定していたでしょうから、淡々と対処を進めるのかと思います。ただ、従来通りの高利回りのレンディングサービスを継続できるのかどうかは分かりません。

また、JPYCの岡部さんもコメントをされていたので、合わせて引用します。
海外に行くか、自己責任でDeFiに行くかどちらかになりますが、それでいいと考えているのかな?
— 岡部典孝 JPYC代表取締役 (@noritaka_okabe) November 7, 2025
電子決済手段レンディングサービスとの対比も気になるところ。 https://t.co/Nqn293Tc8a
規制の意義を疑問視する格好のように読み取れます。確かに、ブロックチェーン技術の上で動くものを使ったサービスに投資性があるからと言って、国内の事業者だけを規制対象にするだけではその実効性も限定的でしょう。
金融庁のスタンスや注視したい点
個人的な感想ですが、上記のレンディングサービスの件に限らず暗号資産の制度全般について金融庁のスタンスも悩ましく、「我が国における健全なイノベーションの可能性も見据え、それを後押ししていくことも大切」などと述べつつも、その一方で適度に規制はしないと…みたいなよく分からない感じになっています。正直、金融庁としても「こんなの無理」って思っているのでは…。暗号資産の技術的な特性から、そもそも中央による規制で何とかならない話が多すぎる印象です。

ただ、足元では詐欺的な投資勧誘の事案もあることから、そういった悪質な行為による被害を防ぐことも重要です(念のため補足しておきますがBitLendingが詐欺という意味ではありません)。何かしらの投資者保護の施策は必要だと思います。
また、レンディングサービスとは別の話題ですが、今後さらに利用が広まるであろうDEX(分散型取引所、Decentralized Exchange)の規制動向も気になります。

あとは、デジタル資産の規制の枠組みに関するまとめスライドがあったので備忘用に。

金融審議会の11/7当日の様子
金融審議会の会議の模様はYouTubeでの配信が行われているらしいのですが、たぶんライブ配信のみなのかな。事後でも視聴できるようにしてほしいですね。
後日、金融庁のWebサイトで議事録が公開されるはずですが、1か月以上経たないと掲載されなかったりと時間がかかるんですよね。
冒頭で触れた投稿をされていたアンゴロウさんはおそらく金融審議会のYouTubeでの配信を確認されたのかと思いますが、11/7開催分の金融審議会についての解説も投稿してくださっていましたので、参考にさせていただきました。
今日開催された金融審議会で、金融庁が暗号資産レンディングサービスを規制する方針を発表しました。
— アンゴロウ@暗号資産 (@angorou7) November 7, 2025
規制の内容と委員の意見を以下に報告します
現在、日本企業のBitLendingやPRR Lendingなどの暗号資産レンディングサービスは、海外運用で年利10%台を実現していますが、この規制が適用されると… pic.twitter.com/fRKKk83ztd
以下は、bitFlyerの加納さんの投稿です。金融審議会のメンバー名簿から、おそらく日本ブロックチェーン協会としてのコメントなのかと思いました。
金融審議会でコメントさせていただきました
— 加納裕三@bitFlyer (@YuzoKano) November 7, 2025
委員の皆様は、ぜひ取引所や顧客の話を聞いて現場を知って欲しいです。海外規制とのバランスを考慮して欲しいです… https://t.co/7tiS7T0lWh
まとめ
金融審議会「暗号資産制度に関するワーキング・グループ」の2025年11月7日の開催分で、暗号資産のレンディングサービスに相当する暗号資産の借り入れを伴うステーキングや再貸し付けといった事業を金商法の規制対象とすることについての言及があった件についてでした。
なかなか難しい話題なのですが、こういったWeb3関連の動向も把握しておきたいところです。
投資性のあるサービスはどんなものでもリスクに注意しましょう。
ちなみに、本記事の作成時点で、まだポイントサイト案件は出てました。オススメはしてません。









