自宅のWi-Fi速度を改善してみた (エントリーモデルのWi-Fiルータ)
我が家の低速なWi-Fi環境をずっと放置していたのですが、ようやく見直して速度改善したのでまとめておきます。
安価なエントリーモデルのWi-Fiルータで十分に改善できたと思います。
※本記事の内容はすべて事実ですが、あくまで”我が家の場合”です。お使いの環境によって通信速度は異なります。
本記事の目的
- 自宅のWi-Fi通信速度を改善する
改善の成果
自宅のWi-Fi環境において、fast.comのスピードテストで平均20~30Mbps程度でしたが、200~300Mbps程度まで改善しました。数倍~10倍の改善です。
※改善したというのは事実ですが、単に改善前が遅すぎただけという話でもあります。
この速度測定に使用した端末は、Windows 10のノートPC(オンボードのIntel Dual Band Wireless-AC 8265によるWi-Fi 5接続)、iPhone SE(第2世代、Wi-Fi 6接続のはず)、iPhone 11(Wi-Fi 6接続のはず)です。いずれも同程度の通信速度になりました。
ちなみに、有線LANでも200~300Mbps程度になるので、Wi-Fiで有線LANと同程度の通信速度を確保できているということになります。
さらに速度向上できるかどうかについては詳しく調べていませんが、Wi-Fiルータ単独のボトルネックではないようにも思います。
ネットワーク構成
我が家のネットワーク構成を簡単に図にしておきます。
インターネット契約は、一般家庭向けの光回線です。
本記事の作成時点では、@nifty光を使用しています。いわゆる”光コラボ”サービスと言われるもので、中身は普通の1Gbpsのフレッツ光回線です。同様の”光コラボ”だと、OCN光等、色々あります。
端末(PC、スマホ等)Wi-Fiルータ → ONU(ホームゲートウェイ) → インターネット
という経路で接続しています。
ホームゲートウェイはブリッジモードで動作しており、Wi-Fiルータでインターネット接続用のIDとパスワードを設定しています。
家の構造は、木造2階建ての一戸建てです。Wi-Fiルータは1Fリビングにある扉付きの収納(押入れ)の中に設置しています。
改善前
改善前の環境はこのようなスペックでした。
Wi-Fiルータは、ELECOMのWRC-733FEBK-Aという安価なものを使用していました。
たまたま手元にあったから使っていた、くらいの雑な経緯です。
古いモデルなので、Wi-Fi 6未対応(Wi-Fi 5まで)、IPv6接続も未対応(IPv4 PPPoEのみ)です。
さらに、ONUとの接続に使用する有線LANが1Gbps未対応(100Base-TXまで)でした。
Wi-Fiの最大通信速度が433Mbps(5GHz)らしいのですが、そもそもこの有線LANがアップリンクなので、インターネット通信速度が当然100Mbpsより速くなることはありません。
改善後
ということで、ボトルネックになっているWi-Fiルータを買い替えました。
新しいWi-Fiルータは、自分なりに選んでBuffaloのWSR-1800AX4Sにしました。
Wi-Fi 6対応、IPv6接続用のIPoE対応です。
もちろん有線LANも1Gbps対応です。
※Wi-Fiルータの選び方や細かいスペックの補足については後述します。
※WSR-1800AX4Bという末尾が”S”でなく”B”の型名もありますが、同じWSR-1800AX4シリーズであり、機器のスペックは同じです。それも後述します。
エントリーモデルなので6000~7000円台で購入可能なものですが、インターネット契約の最大速度が1Gbpsであれば、これで十分かと思います。
スペック上の目安として、メインで使用する5GHzのWi-Fiの通信速度が1200Mbps程度です。
ちなみに、Wi-Fiの電波状況も改善しました。以前はWi-Fi中継器を併用していましたが、その中継器は使用せず、この1台で2階建ての一戸建て住宅の全室を概ねカバーできています。
電波状況の詳細については、機会があれば別記事にまとめる予定です。
改善のポイント
WSR-1800AX4Sにより改善できたポイントは以下です。
- 1. Wi-Fi 6対応
- 2. インターネット接続のIPv6 IPoE対応
- 3. Wi-Fiルータ~ONU間の有線LANの1Gbps対応
ざっくり言うと、通信速度の改善に関しては、実はWi-Fi 6対応のおかげと言うよりは、IPv6 IPoE対応と、Wi-Fiルータ~ONU間の有線LANの1Gbps対応による影響が大きかったです。
順に説明していきます。
1. Wi-Fi 6対応
“Wi-Fi 6対応”と言うとキャッチーなので、これが一番の改善ポイントであるかのように思われるかもしれませんが、実は今回の改善にはあまり寄与していません。
実際、Wi-Fi 5の端末でも200~300Mbpsの通信速度を安定的に確保できています。
つまり、通信速度だけで言うと、Wi-Fi 5(IEEE802.11ac)で十分ということです。
ただ、以下の理由から、Wi-Fi 6対応のものを選んでおきます。
Wi-Fi 6対応製品を選ぶ理由
Wi-Fi 5で十分なのに、なぜWi-Fi 6(IEEE802.11ax)対応の製品を選ぶのか、今後の我が家のネットワーク状況を予測しつつ考えてみます。
-
購入したWi-Fiルータを数年間は使いたい
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その数年間のうちに、端末(PCやスマホ)を買い替えた際、それらは少なくともWi-Fi 6には対応するはず
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また通信量も増大し、家の中で複数の端末が同時に通信する機会が増えるはず
まだWi-Fi 6未対応の端末を使うケースもあるかと思いますが、今後、Wi-Fi 6対応の端末のみを使うようになり、さらに家族それぞれが同時にネットワークを利用する機会も増えるでしょう(もちろん、既にそのような利用状況のご家庭もあるでしょう)。
となると、Wi-Fi 6におけるOFDMAやMU-MIMOといった、複数端末による同時通信の効率を改善する機能が役に立ちます。
そのような見通しから、エントリーモデルでもWi-Fi 6に対応しているWSR-1800AX4Sを購入しました(選び方等の補足については後述します)。
一方で、Wi-Fi 6よりさらに最新の規格(Wi-Fi 6E等)については、費用対効果や必要性の面から見送りとしています。
2. インターネット接続のIPv6 IPoE対応
本記事の執筆時点では、従来型のIPv4 PPPoE接続よりIPv6 IPoE接続の方が、高速な通信を安定的に確保できます。
実際、我が家の場合、買い替えた新Wi-FiルータでIPv6機能を無効化してIPv4 PPPoE接続を試したところ100Mbps程度、IPv6 IPoE接続では前述の通り200~300Mbps程度となり、後者の方が速いです。
※なお、これは”IPv6自体が速い”という意味ではないのですが、機会があれば別記事にまとめる予定です。
また単純に、近年よく使用される接続方式という意味でも、IPv6 IPoE対応は必須でしょう。
Wi-Fiルータを選ぶ際に確認する点
以下の2点に対応していればOKです(ほとんどの機器が対応しているはずです)。
- IPv6接続自体に対応していること(基本的にIPv6 IPoE)
- IPv4通信をそのIPv6接続経由で行えること(IPv4 over IPv6)
我が家で使用している@nifty光では、以下のIPv4 over IPv6サービスを利用できるようです。
- OCNバーチャルコネクト (NTTコミュニケーションズ株式会社)
- v6プラス (株式会社JPIX)
どちらが使われるか、どのように決定されるのかは知りませんが、我が家の環境では”v6プラス”が利用されています。
3. Wi-Fiルータ~ONU間の有線LANの1Gbps対応
Wi-Fiルータ買い替え前は100Mbps(100Base-TX)のリンクだったので、これが一番のボトルネックになっていたようです。
Wi-Fiルータ経由で100Mbpsを超える通信速度を出すためには必須です。
新Wi-Fiルータでは、1Gbpsリンクになり、前述のIPoE接続時に200~300Mbps程度の通信速度を確保できるようになりました。
Wi-Fiルータを選ぶ際に確認する点
WAN側の有線LANインタフェースが1Gbps対応(1000BASE-T等)していればOKです(ほとんどの機器が対応しているはずです)。
※あと今回、Wi-FiルータとONU間の接続に使用していたLANケーブルも良くなかったので交換したのですが、本記事では省略します。
Wi-Fiルータの選び方やスペック補足
Wi-Fiルータの選び方については以下の別記事にまとめてあります。
本記事では、今回考慮した最低限のスペックを簡単に挙げておきます。
- 回線契約に応じたWi-Fi通信速度
- 前述のとおり、最大1Gbpsの契約なら5GHzで1200Mbps程度のスペックで十分
- Wi-Fi 6
- できれば5GHzと2.4GHzの両方のWi-Fi 6対応
- MIMO (2×2(2ストリーム)以上)
- ビームフォーミング
- IPv6 IPoE、IPv4 over IPv6
また、今回購入したBuffaloのWSR-1800AX4Sについて、あまり注目されていないポイントも紹介しておきます。
WSR-1800AX4シリーズの、あまり注目されていないポイント
UL MU-MIMO対応 (Buffalo社に確認済)
“Wi-Fi 6″(IEEE802.11ax)という規格には、必須機能とオプション機能があります。
例えば、4ストリーム以上の無線LAN AP(アクセスポイント)では、DL(ダウンリンク)のMU-MIMO対応が必須とされていますが、UL(アップリンク)のMU-MIMOはオプションです。ULは端末からAPに対する送信方向の通信です。
このWSR-1800AX4シリーズは、エントリーモデルながら、オプションの方のUL MU-MIMOにも対応しています。またOFDMAとの同時利用も可能です。
これらの機能により、複数端末による同時通信を効率的に処理できます(その性能をフルに使い切る機会があるかどうかは分かりませんが…)。
他社製品を含めて私が調べた限り、同価格帯のエントリーモデルでUL MU-MIMOに明確に対応しているのは、WSR-1800AX4シリーズのみでした。感心です。
さらに安価なモデルのWSR-1500AX2Bも5GHzのみUL MU-MIMOに対応しています(2.4GHzの方はWi-Fi 6に対応していないためUL MU-MIMO不可)。
補足として、サポートに問い合わせた際の回答のスピードや内容についても十分でしたので、その点も好印象でした。
WSR-1800AX4SとWSR-1800AX4Bの違い(末尾の"S"と"B")
“ネット脅威ブロッカー”機能の1年分のライセンスがついているかどうかの違いです。
WSR-1800AX4Sの方がライセンスがついているので、同じ価格ならお得と言えばお得ですが、個人的にはあまり必要性を感じない機能なので、どちらか安い方を選べば良いかと思います。
※私の場合は、末尾”S”の方が安かったので、”S”を購入しました。
出典:Wi-Fi 6(11ax)対応ルーター(無線LAN親機) : Baffalo
型名が多い
前述の、末尾の”S”と”B”の違いと、特定販売店向けの型名、カラバリの違いにより、以下のような型名の違いがありますが、Wi-Fiルータ自体の性能は同じです。
あとは、リリース時期が違っていたりもします。
WSR-1800AX4B/DWH [ホワイト]
WSR-1800AX4B/NWH [ホワイト]
WSR-1800AX4B/NBK [ブラック]
WSR-1800AX4B-BK [ブラック]
WSR-1800AX4B-WH [ホワイト]
WSR-1800AX4S/DBK [ブラック]
WSR-1800AX4S/DWH [ホワイト]
WSR-1800AX4S-BK [ブラック]
WSR-1800AX4S-WH [ホワイト]
まとめ
我が家の低速なWi-Fi環境をようやく見直すことができました。
快適です。正直、もともとそんなに困ってはいませんでしたが、やはり速い分には良いです。
※本記事の内容はすべて事実ですが、あくまで”我が家の場合”です。お使いの環境によって通信速度は異なります。