(図解)Google AdSense利用規約の秘密保持の条項
ブログ等でGoogle AdSenseのことを扱う際に、記載してはいけない情報があるようです。
本記事では、Google AdSense利用規約の秘密保持の条項についてまとめます。
本記事の目的
- Google AdSense利用規約の秘密保持の条項について理解する
基本
前提
本記事は、2022年12月16日時点のAdSense オンライン利用規約(請求先住所:日本)(以降、”利用規約”)について記載します。
本記事の作成時点では、第11条に秘密保持に関する記載がありますので、主にこれについてまとめます。
なお、本記事では触れませんが、利用規約には違反していなかったとしても、知的財産権等の侵害、公序良俗に反すること、その他適法でない行為に該当しないかについても注意が必要です。
また、本記事の図を含む内容は、私の解釈に基づいて作成したものです。Google社の意図するものとは異なる場合があります。
図解
まず、なんとなく利用規約にある文章を図にしてみます。
…視覚的に捉えやすくはなったと思います。
Google機密情報が開示不可、それ以外は開示可とされています。当たり前ですね。
※”開示”は、そのことを記載したブログ記事等をインターネットに公開する行為を含むものとして、本記事の話を進めます。
Google機密情報のうち、(b)については各サイトのGoogleアドセンスの実績データも含まれると解釈できます。よって、Googleアドセンスのレポート画面やそのデータをブログ等で公開してはいけないということになります。
ただし、支払総額に関しては開示可とされています。“Googleからアドセンスの収益○○円が振り込まれた”という事実は公開しても良いということになります。
詳細は後述します。
詳細
注意が要りそうな点について詳しく確認していきます。
Google機密情報(b)の詳細
記載内容
Google機密情報(a)~(d)のうち、上記で少し触れた(b)の項目です。
(b) 本サービスとの関係において広告媒体の実績に関連したクリックスルー率その他の統計
AdSense オンライン利用規約(請求先住所:日本)より
表現の比較のため、一応英語版の利用規約も確認します。
(b) click-through rates or other statistics relating to Property performance as pertaining to the Services
AdSense オンライン利用規約(請求先住所:アメリカ合衆国)より
各単語の解釈
(b)内の各単語は、以下のように解釈できます。
- 本サービス = Googleアドセンス
- 広告媒体 = Webサイト等、Googleアドセンスの広告を掲載する対象
- クリックスルー率 = CTR (ページCTR = クリック数 / ページビュー数)
- クリックスルー率その他の統計 = CTR、および、それ以外の統計
“クリックスルー率その他の統計”(“click-through rates or other statistics”)という表記は、広く捉えれば統計データ全般を指すものと解釈できます。
その場合、Googleアドセンスの管理画面に表示されるデータは全てGoogle機密情報に該当することになるでしょう。
逆に、”一部のデータのみ”に限定するような解釈ができるかを考えてみたところで、”統計”が何を指すのかという定義が見当たらないため明確な判断は難しいです。
そもそも”本サービスとの関係において広告媒体の実績に関連”するという条件なので、管理画面に表示されるデータは全て該当するという判断が自然でしょう。例えば、CTR以外に”推定収益額”や”クリック数”、”クリック単価(CPC)”等も該当します。
(余談)ちなみに、クリックスルー率=CTRであることが分かる日本語ヘルプが見当たらなかったので、そこは英語版ヘルプの”clickthrough rate (CTR)”という表現を参照しています。
画面キャプチャでなければ大丈夫?
管理画面のキャプチャでなく、データの数値部分だけを抜粋したものなら開示してよいか、という点についても考えてみます。
“統計”がGoogle機密情報であるという点を考慮すると、画面でなく数値データは”統計”の主たる要素そのものですから、やはりGoogle機密情報に該当するでしょう。
加工すれば大丈夫?
概数による表現(“95クリック”を”約100クリック”とボカす)や、数値部分にモザイクを入れた画面キャプチャ(桁数は判別できる)等、色々と”加工”の仕方は考えられるかもしれません。
ただ、おおもとのデータが”本サービスとの関係において広告媒体の実績に関連したクリックスルー率その他の統計”に該当している点、また、どのような”加工”をすれば開示しても良い情報になるのかという定義が無い点から、”Google機密情報ではない”とは言い難いです。
Google機密情報(c)の詳細
以下の記載内容です。
(c) 本サービスにおける非公開のベータ版機能または体験版機能の存在、それに関する情報、またはその規約
AdSense オンライン利用規約(請求先住所:日本)より
これは記載のとおりですね。
新しい機能等に関する記事の開示は、Google社もしくはGoogle社に認められたものによって公開されるまで開示してはいけません。
Google機密情報に含まれない”お客様の責によらず公知となった情報”
Google機密情報に含まれないものとして、”お客様の責によらず公知となった情報”(英語版では”that becomes public through no fault of yours”)が挙げられています。
このような記載がなぜ必要なのか不思議に思ったので、記載しておきます。
例えば、以下のような情報も”お客様の責によらず公知となった情報”に該当するかどうかです。
- 事故的に漏れてしまったGoogle機密情報
- 誰かがこの利用規約に反して開示してしまったGoogle機密情報
(意図的かどうかに関わらず結果的にリークしたもの)
これらを”お客様の責によらず公知となった情報”に該当するものとして扱ってしまうと、例えば、”あのブログに載ってたCTR”とか”あの動画で言ってたクリック単価”がGoogle機密情報ではなくなり、(この利用規約としては)開示しても良いことになってしまいます。
※例なので該当のブログや動画の著作権等について考慮していません。
もちろん、そのような扱いを認めてしまうと、せっかく定義したGoogle機密情報(a)~(d)が蔑ろになってしまうので、認められないと思うのですが、利用規約からはそれが読み取れません。
また逆に、認めない場合、そもそもどのようなケースを想定してこの”お客様の責によらず公知となった情報”をわざわざ挙げているのかが不明でした。
引用
利用規約の該当箇所を引用しておきます。
- 秘密保持
お客様は、当社の事前の書面による承諾なく Google 機密情報を開示しないことに合意するものとします。「Google 機密情報」には、(a)本サービスに関連する一切の Google のソフトウェア、技術および文書、(b)本サービスとの関係において広告媒体の実績に関連したクリックスルー率その他の統計、(c)本サービスにおける非公開のベータ版機能または体験版機能の存在、それに関する情報、またはその規約ならびに(d)Google により提供されるその他の情報であって、機密であると指定されるか、それが提示される状況において通常機密とみなされるものが含まれます。Google 機密情報には、お客様による本サービスの利用より前にお客様にとって既知であった情報、お客様の責によらず公知となった情報、お客様が独自に開発した情報、または第三者によりお客様に適法に与えられた情報は、含まれないものとします。本第 11 条にかかわらず、お客様は、自らによる本サービスの利用によりもたらされた Google による支払総額を正確に開示することができます。
AdSense オンライン利用規約(請求先住所:日本)より
まとめ
ブログ等でGoogle AdSenseのことを扱う際に注意すべき、Google AdSense利用規約内の秘密保持に関する条項について確認してきました。
利用規約の違反をGoogle社が積極的に取り締まっている風には見えませんが…ただ世の中のサービスを使う上で、”利用規約”は重要なものなので、きちんと理解できるよう心がけたいです。