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うるう秒の廃止(CGPM2022決議)

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うるう秒が廃止されるようです。
本記事では、国際度量衡総会(CGPM)の決議等から、うるう秒廃止に関して調べた結果を記載します。

本記事の目的

  • うるう秒廃止が決まったこととその経緯を把握する。

目次

基本

CGPMという会議

2022年11月15日~18日、第27回の国際度量衡総会(CGPM)がフランスで開催されました。4年に1回開催されるそうです。

国際度量衡総会(CGPM)は、国際度量衡委員会(CIPM)と国際度量衡局(BIPM)の上位機関らしいです(詳しくは不明)。

(CGPMは、フランス語の”Conférence générale des poids et mesures”の頭文字)

ちなみに、NICTはBIPMに原子時計のデータを報告しており、国際原子時(TAI)が作られています。NICTのページでも紹介されています。

27th meeting of the CGPM 決議

27th meeting of the CGPMのページから会議内容を確認できます。

採択された決議は、”RESOLUTIONS ADOPTED”です。

表紙と前半がフランス語ですが、後半は英語で書かれています。

うるう秒に関する決議

上記のPDFの”Resolution 4″に、”On the use and future development of UTC”という議題があり、これがうるう秒に関連するものです。

従来、世界時(UT1)と協定世界時(UTC)の差が0.9秒以内になるように、うるう秒が挿入されてきたという経緯に触れた上で、”decides that the maximum value for the difference (UT1-UTC) will be increased in, or before, 2035,”と記載されています。

直接”うるう秒が廃止される”とは書かれていませんが、許容可能なUT1-UTCの最大値を2035年までに引き上げることが決定されました。

その上で今後、以下のためCIPMがITUや各組織と相談することが要求されました。

  • 少なくとも1世紀はUTCの連続性を保証できる新しいUT1-UTCの最大値を提案する。
    “propose a new maximum value for the difference (UT1-UTC) that will ensure the continuity of UTC for at least a century,”

  • その最大値を2035年までに実装する計画を準備する。
    “prepare a plan to implement by, or before, 2035 the proposed new maximum value for the difference (UT1-UTC),”

  • 実装された最大値を管理するためのCGPMによるレビュー間隔を提案する。
    “propose a time period for the review by the CGPM of the new maximum value following its implementation, so that it can maintain control on the applicability and acceptability of the value implemented,”

  • 第27回のCGPMに向け、これらの提案を含む決議案を起草する。
    draft a resolution including these proposals for agreement at the 28th meeting of the CGPM (2026),

上記より、当面(少なくとも1世紀)はうるう秒が挿入されることは無さそうです。

詳細

新しいUT1-UTCの最大値を超えたらどうなる

この最大値を超えると、やはり何らかUTCの調整が必要となるという考え方自体に変わりは無いと思われます。
従来であれば、その調整の方法がうるう秒の挿入でした。

その他のニュース記事によると、BIPMとしては、ある程度の時間差が生じたら時計を調整できる方針とすることを推奨しているようです(このソースは見つけられませんでした)。

UTCの不連続性

新しいUT1-UTCの差分の最大値は、少なくとも1世紀はUTCの連続性を保証できるよう検討されます。

うるう秒が挿入されると、”不連続”になるということですね。
逆に、うるう秒の挿入のような調整をしなければ、”連続”していることになります。

ただ”UTCの連続性”という意味では、最大値を大きくする以外に、うるう秒の挿入とは別のより安全な”時刻調整の方法”の検討も重要そうです。究極的には安全な方法というものは無いのかもしれませんが。

決議の中でも、従来は合意された標準に基づいたうるう秒の挿入方法が無かった点に触れられています。

負のうるう秒

地球の自転が最近速いらしく(全然気づきませんが)、世界初となる負のうるう秒の挿入が必要となる可能性もあるようです。

2035年までに、負のうるう秒が発生するかもしれません。

ほぼ全会一致なのに2035年までかかる理由

ニューヨークタイムスの記事でも取り上げられています。

この記事によると、うるう秒の廃止に関する投票は、ほぼ全会一致だったようですが、ロシアは決議に反対票を投じ、ベラルーシは棄権したようです。

ロシアが運用するGLONASSという衛星測位システムにうるう秒(the extra second)が組み込まれている都合上、ロシアはうるう秒廃止の延期を求めてきたようです。

そのロシアの懸念に配慮し、2035年までは現行のうるう秒の運用を継続する方針となっている旨、書かれています。

国際的な調整ごとは難しいですね。

衛星測位システムは、アメリカのGPSのほか、欧州のGalileo、日本のみちびき等のことのようです。

(余談)27th meeting of the CGPMのその他の決議

よく分かりませんが、面白い語感の議題があるようです。

  • ロナ (ronna, 10^27, 記号: R) 、ロント (ronto, 10^−27, 記号: r) 、クエタ (quetta, 10^30, 記号: Q) 、クエクト (quecto, 10^−30, 記号: q) の4つの新しいSI接頭語が承認

  • “秒”の再定義(On the future redefinition of the second)

参考URL

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