地方税クレカ払い手数料をポイント還元でカバーするための損益分岐点
自動車税や固定資産税等の地方税の納付方法として、2023年4月より eL-QR (地方税統一QRコード) を用いてスマホ決済やクレカを使えるようになりました。従来どおり電子マネー等を利用する方法もあります。
クレカで地方税を納付する際には、納付額に応じて手数料が発生するのですが、手持ちクレカの還元率で手数料に勝てるか (手数料以上の還元ポイントを獲得することで損をしないようにできるか) が気になるところ。
ざっくり “クレカの還元率が1%以上なら損をしない” のですが、実は特定の納付額では損をしてしまいます。まぁ軽微なのですが、なんとなくスッキリ整理はしておきたいです。
ということで、本記事では、地方税お支払サイトのクレカ払い手数料 (F-REGI 公金支払いのシステム利用料) に関し、クレカの還元率に対する損益分岐点を考察してみます。
経緯
自動車税や固定資産税等の地方税の納付方法として、2023年4月より eL-QR (地方税統一QRコード) を用いてスマホ決済やクレカを使えるようになりました。従来どおり電子マネー等を利用する方法もあります。
このような税金の納付は毎年のことなので、できるだけお得に納付したいところ。
納付方法やチャージルート等の詳細については、以下の記事にまとめてあります。
地方税お支払サイトのクレカ払い手数料
クレカで地方税を納付する際には手数料が発生します。
地方税お支払サイトのクレカ払いには “F-REGI 公金支払い” というサービスが利用されており、手数料としてそのシステム利用料を負担する必要性があります。納付額10,000円以下で40円(税込)、以降は納付額が10,000円増えるごとに82円(税込)もしくは83円(税込)が加算されます(税抜75円)。
システム利用料の試算ツールもあります。
納付額に対するシステム利用料のグラフは、階段状になります。
損益分岐点を確認
本記事では、クレカによる納付によって還元されるポイント数が、上記のシステム利用料以上になる条件を考察できるよう、実際に計算をしてみます。
損益分岐点の目安を知るためです。
計算の概要
損益分岐について考える際のイメージは以下です。
上記をもとに、以下のように計算します。
- システム利用料は納付額の増加とともに段階的に増えることを考慮する (リニアでないため計算がちょっと面倒)
- クレカによってポイント還元率が異なるが、とりあえず還元率1%として話を進める
- 納付額に対し、クレカで納付する際の支払総額 (納付額+システム利用料) に占めるシステム利用料の率 (=損をしないために必要となるクレカの還元率) がどのように変化するかを確認する
- その結果から、還元率1%のクレカで損をする納付額のパターンを把握する
サマリ
クレカの還元率を1%と仮定した場合に、ポイント還元率が手数料に負けてしまって損をする納付額のパターンは以下の3つでした。逆に言うと、これら3つのパターン以外なら損をしません。
- 納付額が20,000円台前半: 20,001円~20,294円
ちなみに、乗用・自家用の自動車税では、この金額に該当するパターンは無さそう - 納付額が10,000円台前半: 10,001円~12,176円
このパターンは、軽自動車税10,800円が該当 - 納付額が1円~3,959円
このような少額の納付をするパターンは少ないはず (一応あるらしい)
納付額に対し、クレカで納付する際の支払総額 (納付額+システム利用料) に占めるシステム利用料の率 (=損をしないために必要となるクレカの還元率) がどのように変化するかをグラフにすると、以下のようになります。
10,000円ごとにシステム利用料が加算されるため、ノコギリ状の面白い形になります。納付額が大きくなるにつれ、ノコギリの歯 (システム利用料の率の変化) は小さくなります。
グラフ中、システム利用料の率が1%のライン (青の線) を超える部分は、クレカの還元率が1%だと手数料に負けて損をします。
納付額が10,001円から12,176円の範囲では、支払総額に占めるシステム利用料の率は1%を超えてしまいます。例えば、軽自動車の税率10,800円の納付に関しては、クレカ還元率が1.1261%以上でないと損をします。一方、納付額が12,177円から20000円の範囲では、支払総額に占めるシステム利用料の率は1%以下です。
また、納付額が20,295円以上になると、支払総額に占めるシステム利用料の率はずっと1%以下です。例えば、1,500cc超2,000cc以下の車の税率36,000円 (2019年10月1日以降に初回新規登録を受けた自家用の乗用車) の納付に関しては、クレカの還元率が1%あれば損をしません。
上記は納付額が10,001円以上の場合でしたが、納付額が10,001円以下の場合のグラフも一応載せておきます。
納付額が小さい場合、支払総額に占めるシステム利用料の率の変化が大きくなるので、対数軸の別グラフにしました。
納付額が1円から3,959円の範囲では、支払総額に占めるシステム利用料の率は1%を超えてしまいます。あまりこの額の納付をすることは無いと思いますが、軽自動車税の貨物用、営業用で税率3,800円になるケースもあるようです。
上記のように、クレカの還元率を1%と仮定した場合に、ポイント還元率が手数料に負けてしまって損をする納付額のパターンを整理できました。
(参考) 複数の納付書の支払いをまとめる場合
複数の納付書分の税金をまとめて1回で支払うことで、それぞれの納付額の1万円未満の端数を合計によっては、システム利用料を減らせるケースがあります。
ただ、合計金額によって、まとめると得をするケースもあれば、損をするケースもあります。
例えば、納付額3万円台(システム利用料288円)の納付書が3つ(それぞれ納付するとシステム利用料は計864円)あると仮定します。
納付額の合計 | システム利用料 | お得な納付方法 |
---|---|---|
10万円以内 | 783円 | まとめて納付 |
10万1円以上(11万円以下) | 865円 | それぞれ納付 |
11万1円以上(12万円以下) | 948円 | それぞれ納付 |
このように、まとめて納付する際には、合計額が1万円繰り上がるごとにシステム利用料が加算される点を考慮する必要性があります。
(参考) 自動車税の額
自動車税(種別割)の金額は決まっているので、参考までにリンクを載せておきます。固定資産税は資産ごとに税額が異なるので省略します。
我が家の場合は
2023年はクレカを使って地方税を納付しました。
我が家では、メインカードとして三井住友カード プラチナプリファードを最大2.5%の還元率で使用しています。還元率1%を大幅に上回るので、このような手数料がかかる決済の際にも心強いです。
2024年は楽天ペイとJ-Coin Payを使いました。
まとめ
本記事では、地方税お支払サイトのクレカ払い手数料 (F-REGI 公金支払いのシステム利用料) に関し、クレカの還元率に対する損益分岐点を考察してみました。