半導体技術のロードマップ(IRDS)
CPU関連のニュース記事を眺めていたところ、そもそも半導体技術に関する国際的な標準化やロードマップの活動にはどのようなものがあるのか気になったので調べてみました。
本記事は、IEEEにより策定されているIRDS(International Roadmap for Devices and Systems)に関するメモです。
本記事の目的
- 半導体技術の国際的なロードマップの存在を把握する。
IRDS
IRDS(International Roadmap for Devices and Systems)はIEEE配下のタスクフォースにより策定されるロードマップです。
このIRDSが半導体技術に関する国際的なロードマップと言えます。
IRDSの執行委員会(executive committee)は、ヨーロッパ、韓国、日本、台湾、米国の5つの地域のリーダーによって構成されます。
IRDSは、以下のInternational Focus Teams(IFTs)の観点でまとめられています(2022年版のIRDSの場合)。
- Application Benchmarking (AB) (Same as 2021)
- Systems and Architectures (SA)
- Outside System Connectivity (OSC)
- More Moore (MM)
- Beyond CMOS (BC)
- Cryogenic Electronics and Quantum Information Processing (CEQIP)
- Packaging Integration (PI) white paper (same as 2021)
- Factory Integration (FI)
- Lithography (L)
- Yield Enhancement (YE)
- Metrology (M)
- More than Moore (MtM) white paper
- Environment, Safety, Health, and Sustainability (ESH/S)
- Mass Data Storage and Non-volatile Memory
- Autonomous Machine Computing
(14.、15.は作成段階)
例えば、ムーアの法則を踏襲する集積回路の微細化については、”4. More Moore (MM)”で検討されているようです。
各年のロードマップに関する資料は、Roadmap – IEEE IRDSより確認できます。
IRDSの目標
IRDSの目標(goal)として、以下の3点が挙げられています。
- To identify key trends related to devices, systems, and all related technologies by generating a roadmap with a 15-year horizon
- To determine generic devices’ and systems’ needs, challenges, potential solutions, and opportunities for innovation
- To encourage related activities worldwide through collaborative events, such as related IEEE conferences and roadmap workshops
出典:IEEE International Roadmap for Devices and Systems – IEEE IRDS
15年先までを視野にしたキートレンドやイノベーション機会の検討、また国際的活動の推進が含まれています。
日本の関連組織はSDRJ
日本におけるIRDSの関連組織は、応用物理学会内のシステムデバイスロードマップ産学連携委員会(SDRJ: The System Device Roadmap Committee of Japan)です。
IRDSを中心に、国内外の各ロードマップ活動と連携し、システムおよびデバイスに関するロードマップを議論する委員会ということです。
経緯
IRDSはIEEEの配下
IRDSは、IEEEのTask Force on Rebooting Computing (TFRC)の主要コンポーネントの1つです。
国際会議(ICRC:IEEE International Conference on Rebooting Computing)は、毎年11月~12月に開催されているようです。
IRDSはITRSの後継
IRDSは、ITRS(International Technology Roadmap for Semiconductors:国際半導体技術ロードマップ)の後継です。
ITRSは、1998年から 2015年に発行されました。
日本におけるITRSの関連組織は、JEITAの半導体部会の中の“半導体技術ロードマップ専門委員会”でした(ITRSが活動を終えているので、この委員会も活動は終息済み)。
半導体部会自体は活動中で、”国際競争力強化を実現するための半導体戦略”の提言等が行われています(参考)
その他
関連で、imecというベルギーの研究機関もあるようで、一応メモしておきます。
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「ムーアの法則」は終わらない ~そこに“人間の欲望”がある限り:湯之上隆のナノフォーカス(41)(2/6 ページ) – EE Times Japan
“Future Logic Scaling: Towards Atomic Channels and Deconstructed Chips”という2020の論文のことが紹介されています。論文自体はIEEEの有料会員のみ閲覧できるようです。